SILK CUT

2001年10月20日 土曜日

 最近の生活と言えば、朝8時頃までインターネット遊びをして、それから朝食を摂ってから眠って、夕方になって起きたらインターネット遊びをして、夕飯を食べたらインターネット遊びをして、日誌を書いて、真夜中に犬の散歩に行って、帰って来てシャワーを浴びてから日誌をアップロードして、朝まで…
 という繰り返しをかれこれ一週間くらい続けている気がする。これはちょっと、あまりに非道い。なんとかしなくてはなぁ。と思いつつ、今日も夜の3時になって犬を連れて近所の公園に散歩に行った。マロンも心得たもので、この時間に散歩に行くことを知っているからちゃんと起きて待っている。

 今日は歯医者に行った以外は一日中家にいたので、日常日記は書けない。また時事ネタか日記系言及でも書こうかなぁ。そんな事を考えながら夜の公園を歩いていると、隅っこの方に大きなスポーツバッグが置かれていた。あからさまに、怪しい。何かヤバいもんでも入っているんだろうか…?少しドキドキしながら近付いて見ると、それは人だった。なーんだ、人か。…って。え?

 人か!

 そのスポーツバッグは、うずくまって突っ伏したまま動かない女性だったのです。丁度、土下座をしたまま眠り込んでしまったような体勢・。
 10月とは言え、最近は夜になるとかなり冷えこむ。
 泥酔→昏倒→凍死or衰弱死 (゚д゚)
マズー
 という非常にマズい三段論法が頭をよぎる。どうしよう、これ。
 死んでたら実に嫌だなぁ。そんな事を考えながら一旦通り過ぎたが、しかし生きてたら見殺しにする事になる。
 それもマズい、と思い直した僕はひき返して、とりあえず声をかけてみた。
 「もしもーし」
 へんじが ない。 ただの
しかばねのようだ。
 いやそんなハズはない。揺さぶったりつねったりして、なんとか顔を上げさせはしたものの、何を聞いても「ァー」とか「フー」とかしか言わない。そして滅茶苦茶酒臭い。かと言って放置するわけにもいかない。
「大丈夫?立てる?」
「ん……。」
「絶対風邪ひくから。死んじゃうから。」
「ぁ……。」
「……。」
 困ったなぁ、と僕は呟いた。
「あの…今…何時ですか…」
「三時。夜中の三時。」
「ぅぁー…。」
 時間を確認すると、女性はまた突っ伏して動かなくなった。なんなんだ。これだから酔っ払いは嫌いだ。
 こりゃ最悪、住所を聞いておぶってってやらないといけないかもしれない。
 暗澹たる気持ちでそんなことを考えていると、向こうから人が近付いてきた。
「だから言ったのに、全く。」
「ぁー。・・・さむい…。」
「そりゃ寒いだろうさ。」
 どうも連れのようである。
「心配しましたよ。」
 と僕は言った。
「あ、どうもすみませんね。ホラ、お前のせいで皆が迷惑するんだぞ。」
「・・・さむいよー。」
「…。」
「…。」
「…。」
しばしの沈黙。二人とも次に何と言おうか考えている間だ。何て言おうかな。元々向こうの連れなわけだし、「後はよろしく」というのもなんだかおかしい。
 結局僕はいくつかの候補の中から「まぁ、何にせよ良かった良かった」というのを選択し、僕らは「じゃぁ」とか「どうも」と言って別れた。

 それにしても、こんな真夜中に公園で何をしているんだ?そう不審がられるのも不快なので、犬を呼び寄せた。そう、犬がいなければただの不審人物な訳で、一度など巡回中の警官に職務質問を去れた事すらある。 というのも夜中の2時3時というのが、犬の散歩の時間としてあまり一般的ではないからなのだが、それにしたってわざわざ犬の散歩アピールをしながら犬の散歩をしなければいけない、というのは主客転倒というか、手段の目的化というか、まるで犬の散歩を「演じて」いるようだ。
 しかし僕ももう少しまともな時間帯で生活を送っていたとしたら、夜中の3時に公園をうろつく男は不審に見えるのだろう。言ってみれば人間とは、えてしてそういうものなのかもしれません。

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