ママはよりそいながら やさしくキッスして
とてもうれしそうに おはなししてる
でもそのサンタはパパ
「お前それ、何持ってんの。」
僕はハンドルを握りながら、横目で助手席に聞いた。
「これ?プレゼントにきまってんじゃん。交換するんだ。てへへ」
妹は八重歯を見せてにっこりと笑った。
やれやれ。
「いつ帰ってくんの?」
僕はつとめて平静を装いながら訊いてみた。少し声がかすれた。
「えー?うーん…。明日のおひるくらいかなぁ。」
僕が返答につまっていると、車は駅についてしまった。それじゃ行ってくるね、妹はそう言って足早に車を降り、白い息をはずませて駆けて行った。明日のおひる、だと…?
夕暮れの駅前はそろそろイルミネーションでライトアップされ始め、恋人達や家族連れが幸せそうにそぞろ歩いている。
後ろの車にクラクションを鳴らされ、僕は我に帰った。付けっぱなしのカーステレオからは、また次のクリスマスソングが流れてきた。
ゆっくりと12月のあかりが灯りはじめ
慌ただしく踊る街を 誰もが好きになる

手をつないでいられる時間には、必ず終わりが来る。時の流れは、人の気持ちは、誰にも止める事ができない。
家に帰ると、僕はパソコンをいじって、何通かのメールに目を通し、それから本を少し読んだ。いつもと変わらない生活だ。
空腹に気付いた僕は、一人でテーブルを作った。今日のカレーには、タンドリーチキンを入れた。3日もカレーを食べつづければ、少しは変化も欲しくなるってもんだ。
「いっただっきまーーっす!」
叫んでも一人。
なんかビデオでも見るか。僕はビデオラックの奥の奥から、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』を取りだした。この季節になるとなんとなくこれが見たくなる。その時、ふと横に置いてある紙包みが目に止まった。
ああ、すっかり忘れていた。妹にやろうと思って町田の小田急で買っておいた、DAISY LOVERSのマフラーだった。僕はそれを拾い上げてしばらく眺めていたが、ゴミ箱に向けて放り投げた。紙袋は、ごみ箱の縁にぶつかって床に転がった。
僕はソファに寝転がって映画を見始めた。ジャックの姿が、無性にうら寂しく見えた。僕とジャックは一緒だ。華やかなクリスマスに憧れても、受け入れられず独りぼっちになってしまうんだ…。
しかし、ジャックにはサリーがいる。僕には誰もいない。
「フィン、フィン…」
足元でマロンが鳴いた。そうか、お前がいるな。
僕はビデオを一時停止させると、マロンにペティグリーチャムの缶を開けてやり、自分にはワインを開ける事にして、床下に取りに行った。1人でシャンパン を開けるのは勿体無いが、一応気分という事で、発泡性ロゼのマテウスを選んだ。グラスとボトルをテーブルに置き、ビデオのリモコンを手に取った時、玄関の チャイムがなった。誰だ?こんな時間に。時計の針は、もう12時を回っていた。
不審に思いながらドアを開けると、寒風と共に粉雪が吹きこんで来た。
妹が立っていた。
「かえってきちゃった。」
妹はドアを閉めると、フードをぱふぱふと動かして雪を落とした。僕はAAのようにポカーンと口を開けていた。妹はそんな僕の横を通りぬけて全身の雪を払い落とし、靴を脱いでウサギのスリッパに履き替えた。
「なにしてんの?」
「か、帰って来たって一体どこから!?電車終わってんだろ?」
やっと声が出せるようになった僕は勢い込んで妹を問い詰めた。
「リカちゃんちだよ。タクシーでかえってきちゃった。」
なんだ、リカちゃん家か…。そっかそっか。僕は何とも言いようのない安堵感に包まれた。
リカちゃん家ね…なぁんだ。…えぇっ!?リカちゃん家からタクシー!?
「お、オマエ、金は?」リカちゃん家からここまではそれなりの距離だ。
「払ってないよ。そんなにもってないもん。そこの角でまってもらってる。」
自慢じゃないが、金なら僕も相当無い。
そして僕の財布は、空になった。
妹は小さな箱を持っていた。
「ケーキだよ!」
箱の中には、3切れのケーキが入ってきた。どうやら一つタクシーの中で食べてしまったらしい事は、妹の鼻に付着したクリームで解ったが、僕は黙っていた。
「オマエ、何で帰って来たの?」
「んー。あっちはみんないて楽しかったんらけどー。」
「うん。」
「……。」
ややあってから、妹は僕のほうを見ないでぽつりぽつりとつぶやくように言った。
「お兄ちゃんは、ひとりで、さみしくないかなぁ…とおもって。」
僕はふいに胸を締め付けられるような感覚に襲われたが、なんとかそれを抑えて言った。
「バーカ。大きなお世話だ。」
妹は表情を固くしてさっと振り向いたが、僕が笑っているのを見て、にっこりと歯を見せて微笑んだ。
それで僕はなんだかたまらなくなって、妹のほっぺたをぷにぷにとつねった。妹はてへへ、と笑った。
それから僕たちは、ワインとファンタ・グレープで乾杯した。
「メリークリスマス」
最初から見たいというので、ビデオを巻き戻して2人で見た。ジャックのプレゼントが子供を追いかける所できゃあきゃあ楽しそうに笑っていたが、しばらく すると静かになった。ジャックとサリーが満月をバックに抱き合うシーンで、ことり、と僕の肩に頭が乗った。
顔をのぞきこむと、妹は寝ていた。もう2時だ、しょうがない。僕は妹を起こさないようにそっとソファからどいて、毛布をかけてやった。
それから少し考えて、床に転がった紙袋を破り、ピンク色のマフラーを取り出して、首にかけてやった。
僕はソファの横にイスを持ってくると、2本目のワインを開け、引っ張り出してきたジミー・スミスに針を落とした。暖かいオルガンの音がじんわりと部屋に広がり、僕は妹の寝顔にそっとつぶやいた。
…メリークリスマス
聖なる鐘が鳴り響く夜
この恋よ 未来まで続けと願うから
響け Oh my wish!
勇気に包まれて
May love last forever!

凄い勢いで一般読者層を置いて行く99式。
(゚д゚)ポカーンという顔が見えるようです。
すいません。イブには奇跡が起こるのです。
そして、奇跡とは自分で掴み取る物なのだ!
| 2001年12月17日(月) アクセス至上主義とは何だったのか |
| アクセス至上主義と称されるものが何故批判を受けるのか。 基本的には、そりゃアクセス数は多い方がいい。特殊な場合をのぞいては、多くの人はそう考えているのではないだろうか。 僕もその例外ではなく、単純に増えたら嬉しいし、減ったら寂しい。 しかし、問題はアクセス数を増やす事自体を目的としてしまう場合だ。 これは何も今に始まった病気ではないが、近年のテキスト人口爆発に伴って増えてきた奇病の一種である。 患者の特徴は、アクセス数をただ単純に「数字」として捉えている所にある。 アクセス数というのは、数字であって数字でない。その一つ一つは、インターネットを通して、端末の向こう側にいる一人一人の人間がサイトにアクセスし、文章を読んでいる事を意味している。 結局、そこの所に頭が回る程度の想像力を持っているかどうかが問われているのだ。 歪んだ自己顕示欲にもとづく動機から、オッペケ大手サイトに「掘り出し物」リンクされちゃった初心者サイトの中には、自分を見失ってしまう人もいる。そりゃぁ突然アクセス数が100倍になっていたりしたら、頭が茹だってしまっても仕方ないが。 ただ、それで増長して「テキストサイトは、アクセス数を増やすゲーム」などとのたまうのは、相当に失礼な事であるのは自覚しておいて欲しい。 誰に対して失礼か?言うまでもなく、自分のサイトを見てくれている読者に対して、である。 「アクセス数ばかり気にしやがって」と叩かれているのではない。作品を数値化しないと判断できない鈍さと、人間をただの数字としてしか見ない傲慢さとが、人を不愉快にさせるのだ。 そんな低脳サイトを喜んで見ている人達も、よく考えた方がいい。お前ら、ナメられてんだぞ? このサイトも、最近随分と「アクセス数」が増えたけど、僕は常に意識的でありたい。 端末の向こう側で、毎日能動的に99式にアクセスしてくれる人の事を。たまたま通りがかった人の事を。メールを送ってくれる人の事を。掲示板に書きこん でくれる人の事を。僕は、読者の一人一人に向かって、届く言葉で、あなたに何かを伝えようとして毎日文章を書いている。 僕は、数字が欲しいのではなく、読者が欲しいんだ。 偽善と言われようと構わない。しかられたって、かまわない。日記を書いていくとー(決めたー)なのにー(アクセス増が)急じゃ)ー怖いー |