キラク
…バッ!
やけにリアルな夢を見て、突然目が覚めました。枕もとの時計を見ると、6時半です。
6時半…。六時半…。6時30分…。
仕事は7時からです。
ん。
やべぇ!寝過ごしすぎ!今から起きて仕度してもどう考えても間にあわねぇ!
泡食って起き上がり、とりあえず携帯電話を手に取りました。職場から電話がかかっているかもしれない。
ディスプレイに着信情報は表示されておらず、ただ「06:29」と表示されていました。
あれ?おかしいな。まさかとは思うが、ひょっとして、朝かな? いや、そんなはずはない。そうすると、寝てから1時間しか経っていない事になる。いくらなんでも…。
6時という時間は、朝なら太陽が昇る頃、夜なら太陽が沈む頃で共に薄暗く、窓の外を見てもどっちなのか判然としません。しかししかしよくよく考えてみれば、僕の電話は24時間表記になっているので、今が仕事の時間ならば「18:29」と表示されているはずなのです。
…なぁんだ。仕事は12時間も後じゃないか。
ようやく安心した僕は、さっきまで見ていた夢があまりにリアルだったので、手近にあった紙にその内容を書きとめました。それからまた暖かい布団の中に戻って、安らかな笑顔ですやすやと眠り始めました。
……。
…ハッ!
と目が覚めると、枕もとの時計は6時20分を指していました。
え?
9分前の世界? つー事はタイムスリップ!?
…。しかしよくよく考えてみると、僕は確かにもう一度寝たのだから、時間が戻るはずがありません。
携帯電話には「18:20」と表示されていました。
12時間後の世界だ。
当然遅刻をして、こっぴどく叱られたのですが、僕は安らかな心持ちでした。
「おい、テメェ遅刻しといてなんでニコニコしてんだ!コラ!」
(――24時間寝なくて良かったなあ。)
(仕事から帰って、メモしておいた夢の内容を見ると、「自家用車で空を飛ぶ方法」が4個書かれていました。)
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