同じネタでもちょっとの工夫で面白く

2003年9月19日 金曜日

 いやー、今日は暑いねぇ。あまりに暑かったので、『2ちゃんねるのこわい話』でを一通り読んで涼んでました。いやー、怖いねぇ。僕も最近引越しを考えているんですけど、こんなスレを読むと考えてしまいます。どうも、東京の賃貸物件のうち半分は事故物件(≒前の住人がそこで死んだ物件)のようです!

 さて、そこでこのスレッドを題材にして、今日はストーリーテリングの話。2つの文章の一部を紹介しますので、読んでみてください。全部読みたい人はスレッドへどうぞ。

Aの文章(>>81)
エンジンが一回ではかからなかった
でもなんとか車を出したがすぐに止まった!
俺はタイヤになにか引っかかっているとおもい
タイヤを見るために降りた
そこには頭蓋骨があった。ここは我慢して
手で!素手でそれをもち、はがしてダッシュで逃げようとすると
今度は一緒にいた女の人が泣き出した!
多くのことが一度に起こりすぎてみんなパニクった
女の人はアパートの窓から20人の人がいっせいに体を出し
手を振ってくるという!俺らが見るとそんなものはいない!

Bの文章(>>33
押入の壁板をトントン叩いて調べ出しました。
Sは調べているうちに床板や他の壁板がコンコンという軽い音を返すのに、押入と風呂を挟んだ壁板だけ
ボンボンといった何か詰まっている様な音を返し、またその壁板が少し膨らんでいるのに気付きました。
Sがそこで押入れの板を外すと、黄色い袋のようなものが見えました。
これはヤバイと思い会社の先輩と大家さんを呼んで壁板全部を外し、後から来た警察官がその袋を引っ張り出しました。
取り出された袋は黄色い寝袋で中に何か詰まっている様に、ズルッといった感じで出したそうです。
寝袋を押入から出した後警察官が寝袋のチャックを開けようとしたところTが突然「オレの部屋で開けるな!」と 興奮して警察官に怒鳴りました。

 どうでしょう。全文を読んでから戻ってきてほしいんですが、こうして一部分だけ抜き出してみても、あきらかに後者のほうが、文章として怖い。これは文章体裁としてAの方が「!」を多用して興奮しながら語っているのに対し、Bは感情を控えめに事象を記述し、最後に「開けるな!!」と叫ぶセリフが挿入されるという、怪談テリングの王道にのっとった技法を使っているという点にあります。Aの文章が致命的に拙い(≒ほほえましくなる)というのもありますけど。

 この事実は、怖い話だけではなく、面白い話、笑い話にも適用されると思います。どんなに面白い話も、話し手がいかにも面白い!という風情で笑いながら話していたらなんだかシラケてしまいます。
 さて、ここで自分の日誌を使って実験をしたいところですが、なかなか笑えるような作品がみつからなかったので、プチ日記を例にとって考えてみましょう。

 同僚がみんな出払った部屋にて一人でデスクワークに励んでいたところ。
 ノックの音とともに他部署のY氏が入ってきた。そして彼は部屋をぐるりと見回した後、ぼくに尋ねてきたのでした。
 「あのー、Fさんいます?」
 ぼく以外だれも部屋にいないことくらい見りゃあ分かるでしょうが。それとも何ですか、サーカスみたいに花瓶の中に入ってたりするんでしょうか。
 「これでいたらビックリですよね」とお答え申し上げたところ、Y氏からすごく怒った顔でにらまれてしまいました。
 「あ、ウソです」と慌ててフォローしたものの、時すでに遅し(何がどうウソなのか自分でも分かりませんが)。

 短いながらもプチ日記的お笑いに満ちた良作です。笑える。これが、こうなる。

彼は部屋をぐるりと見回した後、ぼくに尋ねてきたのでした。
 「あのー、Fさんいます?」
 ぼく以外だれも部屋にいないのに!! Fさんいますて! まさかどっかに隠れてるとか!?w
 「見てののとおり、いるわけないでショ!」とお答え申し上げたところ、Y氏から地獄のような顔でにらまれてしまいました!
 「あ、ウソです」と慌ててフォローしたけど、何がどうウソなんだよ!>俺

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 絶妙なアレンジによってぐっとつまらなくなりましたね。(これはこれで面白いような気もする。酔ってるからかな。プロットが優れているからか。まぁ“つられ笑い”という現象もありますからね。『ガキの使い』で、松っちゃんがあまりにも可笑しそうに笑ってるのを見て笑ってしまったり。)

 読み手の気持ちや心情に影響を共鳴させるためには、書き手自身の精神状態や、文章のトーンをうまくコントロールしなくてはなりません。
 この辺を意識しながら書くと、日記がもっとオモシロくなります。
 日記が! 面白くなりますっ!!


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