日本印度化教団

2003年9月30日 火曜日

 会社の近くにある唯一のコンビニが、閉店することになった。
 それにしても晴天の霹靂とはまさにこのこと。経営も順調だったようなのに、ある日突然「1週間後に閉店します」との貼り紙が貼りだされたのだ。こんなことをされると、一体どうして閉店するのか知りたくなる。そうすると、直接聞いて見なくては気がすまないのが新聞記者のサガ、というやつである。しかし、明らかに「訳アリ」のようなので、警戒されてはなるまい……。

「閉店します」の貼り紙が登場した次の日、僕は意を決して店員のおねーさんに、あくまでさりげなく聞いてみた。
「すいません。何で閉鎖するんですか?」
さりげなくない……。ちっとも追いついてないよ!!
 何が追いついていないのかはさておき、店員女史はあっさり答えた。
「○○教に買収されたんですよ。」

 ○○教というのは、会社の近くに広大な領地を構えるカルト教団である。教徒たちは皆黄色い布を身につけているので、僕は黄布党と呼んでいる。教団の施設の前には常にものものしい警備が立っているし、周辺には信者向けショップがあり、教祖のブロマイドやうちわ、黄色い旗や黄色いリストバンドなどが売っている。実に。実にうさんくさい。

 そんな教団が領土拡張に乗り出したら、さすがにこんな小店はあっという間にBCを打たれて潰されてしまうことだろう。むべなるかな……。
「ホントいい迷惑ですよ。なんでもオーナーが入信しちゃったらしくて。」
 おいおい、そんな裏事情を客に話しちゃっていいのかよ!?
「へ、へぇ。大変ですねぇ。」
 引きつった笑顔でそう答え、店を後にしようとした僕は、背後に刺すような視線を感じて思わず振り向いた。

ピシィィイイイイイイッッ!

 そこには、店の奥から半身を覗かせて、じっとこちらを伺っているコンビニオーナーの姿があった。明らかに人外の目つきで、こちらを見ていた。
 ヤバい、聞かれた。
 僕は逃げるように会社に戻った。

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 しばらく席で頭を抱えてガタガタと震えていると、ボスが現れた。
「おい、向かいのコンビニは黄布党に地上げされたらしいぞ」
 みんなに言ってるのかよ。

 ともあれ、これからはいよいよ“昼もカレー夜もカレー”の、まさに黄色い日々を送らなくてはならない。これが教団の掲げる「中黄太一」なのか。


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