フォーク・ミュージカルドラマ『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』第1話 感想

2004年2月7日 土曜日

 完璧だ。圧倒的に完璧だった。

 

 その少女には才能があった。歌に、ダンスに、演技に、図抜けたセンスを持っていた。

 だが今までそれを知るのは、注意深く辻希美というタレントを観察し続けてきた一部の人間達だけだった。機会が、なかったのだ。辻は今まで、そのあり余る才気を、持て余してるフラストレーションを、発散させる場を与えられなかったのだ。天才ゆえの悲劇と言っていい。

 その緞帳が、今日取り払われた。ドラマ『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』、辻希美編の幕が上がったのである。まさに彼女のために書かれたシナリオ、彼女のために作られた舞台だった。まるで猫のようにくるくると変わる喜怒哀楽の表情。視聴者は美音子が笑えば楽しくなり、美音子が泣けば悲しくなり、美音子が怒れば心を乱す。

 そして、美音子が歌うと、共演者もスタッフも、そして我々視聴者も、瞬間 息を飲む。時が止まる。


 何ですか、あれは。「最高すぎる。」これが第一声でした。

 とうとうこの日がやってきた、『ブレーメン』辻ちゃん編のスタートです。

 一言で表現するなら、これは辻ちゃんによる「ミュージカル・ドラマ」だった。今や、もっとも成長が著しく、ミニモニ、いやモーニング娘の中でも一、二を争う歌唱力の持ち主である辻ちゃんのソロ歌唱がふんだんに盛り込まれた25分。それはまさに桃源郷と言っても過言ではない夢時間、夢ドラマ愛の歌だった!

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♪恋のダイヤル6700 冒頭から、突然商店街の通行人を従えて「恋のダイヤル6700」を歌いだす辻ちゃん。「リンリンリリン……」ベースのリズムが異様な高揚感をあおり、辻ちゃんの透明感のあるボーカルが流れ出す……。うわーー! 僕は興奮のあまり、飲んでいたビールをこぼすところだった。この曲はこんなにスリリングな曲だったか? しかしここではひったくりにぶつかられて歌はストップ。

♪傘がない その後は夜の街で歌うフォークシンガー(ミカ・トッド)と運命的な邂逅を果たし、フォークに目覚める辻ちゃん。学校で「傘がない」を歌うも、先生に叱られて中断。

 メンバーを募り、家で練習しようとするも、親に叱られて演奏停止。

 結局、この日まともにワンコーラス歌いきったのはフォークの女(ミカ)だけで、辻ちゃんの歌は毎回中断させられる。が、そこは一回目ということで。この不完全燃焼感は、そのまま次回への期待感へと変換されるだろう。

 これから辻ちゃん演じる主人公は、音楽的にも人間的にも成長し、1ヵ月後の最終回には感涙のカーテンコールが待っているはずなのだから。

♪学園天国 くだくだしく述べてきましたが、結論として言うなら、「めちゃめちゃ楽しい」の一語に尽きます。だってこのスクリーンショット見てるだけで楽しそうじゃないですか?

 見逃した人も大丈夫。次の土曜日の朝10時から再放送がやっています。つまり来週の土曜は、一日で2話分見られるってことですよ! 必見。

・追記

 ハロプロの企画で、松浦や中澤、メロン記念日などがフォークソングをカバーする企画盤シリーズがあるが、今のところそれほど成功しているわけでもなさそうだ。あれに今後は辻ちゃんを起用したらどうだろう。

 いやそれよりも、島谷ひとみからB’zまで参入している、昨今の70年代カバーブームに乗って、今夜披露された『恋のテレフォンナンバー』と『学園天国』を辻ちゃんに、いやミニモニにカバーさせれば面白いことになると思うのだが、どうか。後藤真希に『オリビア〜』を歌わせるより、ずっと有意義で楽しそうである。


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