軍人派遣のオー人事

2004年6月10日 木曜日

 イラク人の人質が、米国の特殊部隊に救出された。この人質、あの有名な「イタリア人の死に様を見ろ!」と叫んで撃ち殺された人質の残りである。

 開放された彼らは帰国後、イタリア当局に取調べを受けるらしい。イタリアは1989年に国連が採択した「傭兵の募集、使用、賃金供与、及び訓練を禁止する条約」を批准しているため、法律で傭兵活動が禁じられているからだ。あれ、傭兵? そう、人質になったイタリア人たちは、傭兵だったのだ。この間バラされたアメリカの民間人も傭兵だった。日本での報道では、外国人の人質は、「民間人」と表現されていることが多い。もう少し詳しく報道されている場合も、「米の民間警備会社に勤める外国人」とされている程度だ。

ブッシュ米大統領のローマ訪問に合わせて同地で行われた抗議行動で、ナチス・ドイツのかぎ十字が書かれた星条旗などを掲げるデモ参加者ら(4日、イタリア・ローマ) しかしこれはとんでもない言い換えで、この「警備会社」というのが曲者。実態は組織的に傭兵(非正規戦闘員)を送り出している、いわば軍人の派遣会社なのだ。オージンジ・オージンジなのだ。アメリカは、「傭兵を禁止する条約」を批准していないので、傭兵ビジネスで大もうけというわけ。イラクで外国人の人質が殺されたからといって、「復興に携わる民間人を殺すなんて!」と怒るのは筋違いというもの。給料目当てに戦争しに行って捕まって撃ち殺された、それだけの話だ。

 そしてその実態は、10日の読売新聞によれば

傭兵の中では、南アと旧ソ連圏のウクライナ、ロシア出身者が多く、「とくに特殊部隊経験者が重宝がられる」。収入は1日当たり50ドルから1万ドルまで、経験と能力に応じて非常な格差がある

らしく、世界に50社ある傭兵会社による市場規模は11兆円、イラクに駐留する兵力の実に6分の1が傭兵だそうである……。

 実質的には、“民間人=傭兵”と解釈して良さそうだ。なぜなら、もしそれが報道関係者なら「ジャーナリスト」「カメラマン」と報道されるはずだし、“ストリートチルドレンを助けるNPOの人”なんてのは日本人以外におそらくいないからだ。

 同じく非正規戦闘員でも、イラク側で戦えばテロリスト(聖戦士)、アメリカ側で戦えば民間人(侵略者)。言葉って難しいなぁ、と思うが、日本の立場として見れば両方“民兵”でいいんじゃないの? という気もする。

 でも日本国首相は「(国連安保理の)採択を歓迎する。これは決して米国の譲歩ではなく、米国の大義の勝利だ」とか言ってしまう人だからね。どういう立場だ。しかも多国籍軍に参加することをさっさと決めちゃった。多国籍軍てのは言うまでもなくアメリカ軍の言い換えだからね。

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 イラクの産油を停止させて、イラク国外から石油を運搬することで巨額の富を得ているハリバートンと、イラクに傭兵を送り込んでぼろ儲けの警備会社ブラックウォーター。目のくらむような大義である。

参考

死亡した傭兵会社ブラックウォーター社員は本当に民間企業人か!

戦争の不当利益とハリバートン—–


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