不景気時代のBLOG

2004年7月15日 木曜日

 インサイターというサイトで、面白い擬似対談があった。その【予備校ロックの夜明け】と題された対談は、最近の日本の若手バンドを“予備校ロック”と呼び、「ぱっと見さえない、予備校生っぽいルックスの若者がやる英米ギターバンド風ロック」と定義付けている。

(インサイター・7/11)

 なるほど、確かに「いつから日本のロックはさえない人がやるものになったんだろう」という疑問ももっともで、僕もそんな貧乏くさい日本のロックに、タオルを巻いて拳を振り上げることのできる年齢ではなくなってしまった。先日行った“特撮”のライブでも、フロントマンのオーケンが「今度、青春パンクと一緒にイベント出ることになっちゃってよう……。青春パンク。お客さんみんな首にタオル巻いた少年少女だよ! オレも若者に負けねぇように、Tシャツの首んとこにタオル縫い付けていくぜ!」と言っていた。

 インサイターの指摘によれば、予備校ロック増殖の背景には、渋谷系やヴィジュアル系などの、金をかけて幻想を演出していた産業ロックの衰退や、音楽業界の長引く不況があり、予備校ロックはフリーター世代のロックであるとされている。

 この指摘にはなかなか説得力がある。 それこそ盛大な記者会見を開き、ロールスロイスで乗りつけ、ツアーでは高級ホテルのスイートを借り切るような、そんないにしえの“ロックスター”という言葉を日本で最後に体現したのはエックスだったか。91年アルバムJelousy発売、おりしも日本バブル経済崩壊の直前だった。そりゃあ今更エックスもYAZAWAもないだろうけど、新しい世代からそろそろスター然としたロックが生まれてきてもいいように思う。

 さて、僕はこれと昨今のブログブームに、通底するものを感じるのだった。

 次に紹介するのは中堅テキスレというスレッドでの、ある名無しさんの意見。

 かつてのテキストサイトに流れていた空気って、「面白い文章を書かなければならない」という、一種の義務感だったように思う。

 だからblogに流れている空気が、かつてのテキストサイトとは真逆の「面白い文章を書かなくてもよい」といった空気なのは、仕方無いんだろうけど……。

 でも何と言うか、「面白い文章を書かなくてもよい」という空気が界隈全体に蔓延するのは、何か気持ち悪いなあと、個人的には思う。

 これは、僕が今週号のSPA!誌上に語ったこととちょっと関係するんだけど、やはり今のテキストサイト世代というのは、侍魂の呪縛から自由になっていない。テキストサイトと言ったら、面白いことを書いて読者を笑わせるものだという共通認識が存在するような気がする。2001~2002頃には確かにそういう空気が流れていたし、そういう意識がテキストサイトの華やかな時代を支えた面は否定できない。

 しかし、今にして思えばそれがまさにテキストサイトバブルの時代だったのである。

 すると今はその反動の、長い不況時代なのだろう。ネット上の個人の活動も、ロックを歌う若者たちも、現実の不景気の心理的影響から容易には抜け出せないのだろうか。

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コメント / トラックバック 1 件

  1. type99 Says:

    凄い時代だったんだな今にして読むと

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