読書感想文(13) マルドゥック・スクランブル / シグルイ1

2005年3月7日 月曜日

マルドゥック・スクランブル 冲方 丁

レビュアー: 宮本・ザ・ニンジャ
 科学技術の発達した近未来。街の中央にそびえる階段(マルドゥック)。権力の座を目指す男の欲望の餌食にされ、瀕死の重傷を負った少女バロット。新しいボディーと特殊能力を備え、自分を殺そうとした男を追う。サイバーなSF描写と、ハードなガンアクションが炸裂する良質な国産SF。どうしてもストーリー仕立てや設定は『銃夢』を思い出してしまうんだけど、サイバーパンクものとしてもガンアクションものとしても楽しめた。翻訳調の文体もSF気分を盛り上げる。「なぜ、私なの?」と繰り返し発せられる少女のモノローグは、自分とは何か、というアイデンティティーと境界線の問題を正面から問う疑問でもあり、その辺が続刊でどう展開していくのかもみどころだ。というか、1巻があんな漫画みたいなヒキをするとは思わなかった。普通、1、2、3とあってもそれぞれで一応の話は解決するもんじゃないの!?
★★★★☆ 

シグルイ1 南條 範夫 (著), 山口 貴由 (イラスト)

 この企画は一応活字に的を絞っているので漫画は対象外なんだけど、皆様からのススメは全部読みます。各所ですごい、すごいと言われているのを目にしていながら、今までスルーしてきてしまった。「剣術に興味のある方なら」と勧められた。そう、実は僕は1年ほど前から、剣術/杖術の道場に通っているのだった。
 シグルイは、ヒトコトで言って異常な漫画だった。異常に熱くて、異様な勢いのある漫画である。登場人物はみな過剰で、狂っていたり片輪だったりする。物語の舞台は江戸時代で、人々は木剣で殴り合い、真剣で切りあい、毎巻 臓物がずるずると出てくる。しかし、「正気では大業ならず」である。これは『葉隠れ』にある武士道精神だが、それがいかんなく発揮されている。シグルイは死狂い。武士道は死狂いなり。これは確かにすごい漫画だ。
 インターネット殺人事件でアイデアが披露されている『ブシドーMMO』がやりた過ぎてたまらない。
★★★★★ 

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うーん…いまいち…ふつうですかなり良い素晴らしい (まだ評価されていません)
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コメント / トラックバック 4 件

  1. 匿名 Says:

    最初から続刊を予定して発売される小説の場合は、それこそ漫画のヒキのごとく、普通に「次巻に続く」ってのは多々ありえますよ。
    西尾維新の最新作「ネコソギラジカル」なんて上中下三部作予定で中下の発売未定、なんて状況ですし。

    それとはまったく別に、連載小説、という形をとる場合は単行本化の際、単純にページ数の都合で「次巻に続く」なんてこともありえます。
    それこそ「マルドゥック・スクランブル」の続編が現在SFマガジン誌上にて連載されていますが、これなんかは単行本になるときにそのような形態をとるでしょうね。

  2. heterodontus Says:

    推薦者です。「シグルイ」読まれましたか!熱いでしょう?
    まともな人間など誰一人としていない。皆尋常ならざる情熱を持ち、かわりに身体や情動が欠けている。
    原作の小説は既に絶版のようですが、実はかなり山口流に脚色されているようです。
    覚悟のススメとかは読んでいましたが、この作品にはそれ以上の衝撃を受けました。文字通りガーンと頭を一撃されたような。
    原作もこれに乗じて再販して欲しいところです。是非読み比べてみたいと思います。

  3. ミキサカ Says:

    友人に上巻だけ借りて、その結末にビックリした覚えがあります。続き買うしか無いじゃん!みたいな(笑)

  4. 宮本 Says:

    >>ミキサカさん
    え、ここで引くの!? っていう。残り20ページくらいになって「これちゃんと終われるの?」と不安になったんですが。

    >>2
    「上中下三部作予定で中下の発売未定」ってそれすごいですね。よくついていけるな読者も。
    色々と事情があるってことですね。MSの続編楽しみです。

    >>3
    いやぁ、熱かったですね!
    南條 範夫のほかの著作も読んでみたくなりました。それにしても凄い漫画です。推薦ありがとうございました。

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