キャラ&メルミュージカル ミクロレポ

2005年3月27日 日曜日

 目を怪我していつも思うんだけど、目が使えないと本当にすることないですね。音楽聴くくらいか。さて昨日は「一体どうする!?」で引いたんだけど、もちろん眼帯したまま行ってきましたミュージカル。

 総評は、全公演を見終わってから改めて考えるとして、今回は今まで3回行った中での見所、相違点などをミクロに思い出し書きです。そもそも、なぜぼくがこんなに足繁く通っているのかと言うと、ひとつはとにかく楽しい、というのがあるんだけど、もうひとつはアドリブやアレンジが見たいからです。毎回違う作品と言っていいくらいに違うんですよ。しかもそれは、出来にバラつきがあるという意味ではなく、毎回必ず楽しい。

 軽度ネタバレありです。

21日(月)
 まだ通算2回目の公演。にも関わらず堅さは全く見られない。アドリブもバシバシ決まって凄い。凄い凄い。超エンターテイメント。イリュージョン。格闘アクション。早変わり。変身シーン。インタラクティブ。凄い。
 最後、正気を取り戻したカレンとイオンのキスシーンあり。事前に「キスシーンがある」などと言っていたから、てっきりキャラのかと思っていた観客が大いにホッとする。

24日(木)
 6回目の公演だが、すでに随分“崩し”が入っている。話の流れをいじらない程度にセリフを毎回アレンジしている。トチっても機転で切り替えして話をつなげることも出来るようになっていた。
「森の教会の男じゃないわ! よく見ると、あんなカッコ悪い奴じゃなかったもの!」
というセリフが、毎回共演者いじりに変わってるようだ。この日は
「よく見ると、悪そうに見えて、実は意外といい人なのよ!」
に変わっていた。これはこれでウケてたけど、意味が真逆になると展開に齟齬をきたすので、どうかと思うなあ。
 途中、イオンの仮面が手からすっぽ抜けて客席に飛んでいってしまうハプニング。客席が凍りついたけど、投げ返してもらって難なく芝居続行。この辺の対応力はかなりのもの。
このミュージカルには、イリュージョン、つまり大仕掛けの脱出マジックがあるのだが、ここでの客席の反応が気になった。脱出マジックは、成功して「はいっ!」と出てきたときに客席からの拍手がないと、芸として成立しないのだ。しかしこのミュージカルの客は、脱出に何度成功しても静まり返っている。ノッてない訳ではないのは、他の登場シーンやセリフでは盛んに喝采していることから分かる。要するにマジックの意味や見方が分かっていないのだろう。今後、率先して拍手をすることで客席を啓蒙していくことを密かに心に誓う。
 キスシーンはカット。ただの握手になった。ココヲタの脅迫状でも届いたのだろうか。代わりにメルが「キャラにはあたしがいるじゃない!」と言って、2人でキスのマネをしていた。

26日(土)
 この日は全体的にかなりドタバタしていた。セリフや演技のトチりも多かったし、機材のトラブルやスタッフのミスも多かった。基本形を既に見ている僕はそれを楽しむことが出来たが、この日しか見られなかった客にとってはどうだろうか。まぁ、それはそれでオンリーワンの舞台ということでいいかもしれない。普段よりもコミカルな部分が強く出ることになった。
 最初のうちは、アドリブ大目で好調に回していた。例えばイオンが逃げ回って目を回したメルが「お腹が減って…目が回る…」というシーン。辻ちゃんは「さっき本番前に○○(聞き取れず)食べ過ぎて…もうダメ…」と言って客席を爆笑させた。
 この辺の“遊び”は共演者全体に伝播していた。この、周りの空気を一瞬にして変えてしまう力、ペースやムードを支配する力こそが、キャラ&メル、辻加護の魔法である。
 もともとコミカルな動きで道化を演じていた神父が、今日はそれをさらにエスカレートさせて、何だかジェームズブラウンと化し、「ヘイ、ユー!」とか「チェゲラッッパ!」とかノリノリで大暴れして、観客の失笑とキャラメルの含み笑いを誘っていた。この日限りだろうか。
 地下の仮面の男は、「意外と腰低いんだよね」「優しいよね」といじられた後「えぇーーい、うるさいうるさい!あることないこと言いおって…!」でリカバリーしていた。
 しかし、“崩し”や“遊び”は不真面目と紙一重である。結果的に緊張感すらなくしてしまい、失敗することも多い。幸いこの日はうまく行っていたが、ついにそれが起こってしまう。
 イオンが教会で祈りを捧げているところにキャラメルが現われるシーン。
「あ、あれはイオン様!」と叫んだキャラの声が、やけに小さい。マイクが入っていないのだ。うっかりスイッチを入れ忘れたのかな? しかし、何度言いなおしてもマイクが出ない。結局、このシーンは生声のままいくことになった。加護ちゃんも一生懸命声を張り、メルやイオンもうまくセリフをサポートして乗り切った。BGMもギリギリまで絞られていた。こういう咄嗟の連携が出演者・スタッフ全員で出来るようになっていることから、良い現場であることが分かる。(まぁ音声に異常がないに越したことはないが)
 しかし、前述したように“遊び”は基本がしっかりしているからこそ成立するものである。機材トラブルを難なく乗り切ったように見えて、さすがに動揺していたのか、この後少しずつ舞台全体が揺れていってしまう。
 地下の練習場、キャラメルの2人が罠にはめられて困っているところに半田が助けにくるシーンでも、
メル「やっぱりあの人はいい人だったのよ!」
キャ「あたしの言うこと信じてれば、こんな怖い目にあったりしなかったのに!」
半田「2人とも、人の話はよく聞いておくんだな!」
が基本形だとすると、普段は
「やっぱりあの人はいい人だったのよ!」
「あたしの言うこと信じてれば、こんな、ちょっぴり楽しかったけどー…、怖い目にあったりしなかったのに!」
にアレンジされている。ところがこの日は
「やっぱりあの人はいい人だったのよ!」
「あたしの言うこと信じてれば、こんな、ちょっと怖かったけど怖かった目に怖かっ…!」
 完全に飛んでしまった。すると半田イオンが
「2人とも、セリフはよく確認しておくんだな!」
で現われて拍手喝さい。共演者もまたひとつのチームとして、楽しんでやっていることが伝わってくる。
 しかし、この良くも悪くもムードメーカーである主演のミスはやはり全体に伝わり、次の戦闘シーンでは音声が途中で止まってしまったり、かっこよく敵を倒すはずのシーンで半田がすっ転んだり、ハケる途中でアヤカも転ぶなど、舞台の出来としては散々だった。
 しかし、それを支える共演者のサポートや、客席の暖かい反応などによって、これはこれで良質のスラプスティックコメディとして成立していたように思う。
 イリュージョンの拍手は、毎回ベストのタイミング(脱出が成功した次の瞬間)で大き目の拍手をし、客席をリードすることに成功した。

 しかし、これだけ毎回違うことをやっていると、公演終了後に出るはずのDVDは、一体どう編集するんだろうね。ざっと考えただけでも、10個くらいは主なアドリブポイントがある。

 代表的なのは、メルが事件を放り出そうとするところ。ひょっとすると、ここは台本でも「フリー」とか書いてあるのかもしれない。
 24日は「のんさー、誕生日なんだよね。」「のん!?」「あ、あ、うー、いや!あの!メルさー、もうすぐ18歳の誕生日なんだよね。厄年らしいから、神社行ってお払いしてもらってこよっかなーって。」

26日は
「メルさー、八段アイス食べてこよっかなーって。この間久しぶりに食べたら美味しかったんだよねー。」
「あたしはねー!最近ラムレーズンのアイスにハマってる!」
「そうなんだー!」「へへ…」「ふふ…」
 おい、芝居芝居!

それと辻ちゃんのモノマネポイント。これは、2人が勝手にやってるんじゃないかと踏んでいる。
21日
「ねね、メルはどう思う?」
「ヒロシです…! このマネ、ちょっと恥ずかしいとです…!」

24日
「ね、メルはどう思う?」
「ちゃちゃちゃちゃっちゃ、しゃんはーーーい冷茶ぁ~~~」

26日
「メルはどう思う?」
「なんだバカヤロ!」
「メル!?」
「コマネチ!」
「それイイ!今までで一番あたし好きかも! (客席に)いつもね、何しようか楽屋でずっと考えてるんですよー。今日なんかどっかに電話してた『どうしよう今日ー』って!」

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