空手ニンジャ一代(3) 昇級審査(上)
しまった!
二日酔いでズキズキする頭、寝不足でしょぼつく目頭を抑えつつ、焼け付く喉を六甲のおいしい水で流し、今朝は響鬼よりもプリキュアよりも早く起きた。昨晩飲んでいる間はすっかり忘れていたが、今日は先月から始めた空手の昇級審査の日だったのだ。
青い顔で時間ギリギリに会場へ着くと、この地区中の空手家が集まり、駐車場がいっぱいになっていた。会場内もなかなかの熱気である。審査は下の級から進んでいくので、僕の番はすぐにやってきた。午前は型と基本動作の審査である。初めてまだ1ヶ月ということもあり、ところどころあやしい部分がありつつも、気合でごまかす。「えぇい!」「フッ!」これ大事。
しかし終わったあとで呼び出された。何かとんでもない失態が……? と内心ビクビクしていると「君は非常によく出来ていた。やる気があるなら9級も受けてみなさい」とのお言葉。これは願ってもないチャンスである。「やります! 受けさせてください!」と、とりあえずやる気をアピール。はしたものの、はっきり言って10級のことしか考えてなかったので、技が分からない。慌てて、今日9級を受けた小学生に、空き時間を使って手ほどきを受ける。
「なんだよ兄ちゃん、こんなのも知らねーのか?」
「うるせーです。いいからさっさと教えてください」
一夜漬けでも、3種類の技くらいなら何とかなるものだ。
「ハッ!」「トォー!」しかし、いざ審査の段になってそれらを披露して自信満々で立っていると、「どうした、あと3つ!」と審判員から叱責された。どういうことだ? ……あ! このとき、少年部と一般部ではメニューが違うことに気付いた。が、とき既に遅し……。
「覚えてないのか! もういい! そこまで!」
この失点は、午後の審査で取り返すしかない。
午後の審査は、自由組手。要するに、空手の試合をするわけである。しかしここで予想外の展開が宮本を襲う!
(というわけで眠いので続きは明日。)
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