今日は？　（『キャラ＆メル』ミュージカル批評）

　仕事を辞めてからというもの、毎週のように観劇（Ｗ（ダブルユー）のミュージカル）している宮本なわけだが、チケットを取りすぎて重複、余ってしまった。たまには人と行くのもいいだろうということで、本日、4月7日夜公演を共にしたのは、更なる研鑚を積み甦ったヲタ神・原宿くんと、九十九式読者として応募してくれた、キャリア一切不明！日記界の新入生・津短クン。

　心配していた気狂いオタの暴走もなく、まぁ何人か沸いてるお友達はいたけど、ギリギリ許容範囲だった。同行の2人はＷ（ダブルユー）オタではないので、さてどうなることかと思っていたけど、さすがに“あの2人”のステージを見て平静を保っていられるはずもなく、ことごとく“正中線四連突きをする克己を見守る独歩の顔”になっていた。パアァ……！

　あと、今日またひとつ問題を発見してしまった。冒頭のケーキを取り合うシーンで加護ちゃん（キャラ）が「今日は返してくれるんでしょうねー！」と言ってウケていた。確か前は「最近なかなか返してくれないんだよね」と言っていた。何が問題か、わかりますか。

　今日“は”というのは、昨日も明日もあることが前提になっているのだ。昨日も来た人、明日も来る人はいいだろうけど、その日しかこれない人、初めて来る人にとってそのセリフはどうだろう。疎外感を受けてしまうのではないか。こういう状態を「閉鎖的」と言う。（コアなリピーターがそういうところでいちいち盛大に拍手したり笑ったりしてしまうせいでもあるんだが）（ただ、辻ちゃん、半田のアクション部分やアヤカのバイオリン弾くフリなどは、明らかに上手くなっている。慣れと馴れ。この辺りのバランスは難しいな。ＤＶＤではどうバランスを取るんだろう。）

　確かに毎回まったく同じことをしていてもつまらないし芸が無いかもしれない。しかし、「今日は」や「最近ここが云々」などの、「毎日やってます」的なセリフや、辻加護の素に戻ってしまうコメントは最小限に抑えるべきだろう。一期一会、その日のステージを大事にし、その日の観客を満足させる。それがプロのステージングなのではないだろうか。この辺りは、経験の豊富な共演者や演出家、舞台監督がちゃんと教えてあげてほしいな、と思う。

　ブログやテキストサイトの運営者にとって、これは実に示唆に富んだ問題だ。初めて読む人にも伝わる文章を書けているか。初めて来た人にも、サイトの雰囲気を掴んでもらえるか。
　どんなに長く読んでくれている固定読者だって、最初にアクセスした日というのはある。アクセス数は、結局はその初見の人の積み重ねでしかない。どんな強いやつも、孤独は寂しいのである。毎日通り過ぎていく人に訴えていくには、毎日なるべく面白い記事を書く努力が必要なのはもちろんだが、それ以前に、誰が読んでも分かる書き出しになっているか、用語の使い方が閉鎖的になっていないか、一見さんお断りの空気を醸し出していないか。などなど、たまに自分で書いた文章を読み直して自戒したいものだ。—–

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2005年4月7日 木曜日 at 02:23 コメント、トラックバックを受け付け中です。
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