第四回国際琉球古武道オープン選手権大会レポ

2005年5月30日 月曜日

 第四回全国琉球古武道オープン選手権大会が開催された。主催が僕の所属する団体なので、朝から手伝いに行ってきた。僕自身はまだ入門してから2ヶ月の身なので、当然出場はできない。

琉球古武道とは

 琉球古武道とは、ヌンチャク、サイ、棒などの、琉球古来の武器格闘術の総称だ。「沖縄空手の武器」と言っても差し支えないとは思うが、“空手”という言葉自体に“素手の”“徒手空拳の”という意味を含んでいるので、このような名称で分けられているものと思われる。

 この大会は、日本本土で唯一の全国大会のため、各地からハイレベルな武術家が集まる。流派も、上地流、剛柔流、少林寺流と様々だ。例えば「周氏の棍」など、ある一つの型でも、流派によって随分と形が違うのも興味深い。これは宗教でも芸術でも、およそ流派のあるところにはつきもので、しかもそれぞれが「ウチが正統だ」と思っているから面白い。

選手達の熱戦

 そんなわけで、各地から集まってきた武道家達が、気合の入った演武を披露してくれた。琉球古武道の試合は、基本的に単独動作の型演舞だ。これはちょっと考えれば当たり前の話で、サイだの棒だのをぶん回して対決したとすれば、必ず負けたほうが病院送りになる。そこで、型の正確さ、美しさ、力強さなどを減点方式でフィギュアスケートのように採点するのだ。

師範の表演

 前半サイの部、後半棒の部の合間に、師範クラスの指導者達によるエキシビション、表演と試割りがあった。
 まずは真剣による巻き藁斬りのあと、そのまま刀vsトンファーの約束組手。手が決まっているとはいえ、触れれば斬れる真剣だ。見てるほうにもヒリつくような緊張感の伝わってくる演舞だった。
 そして試割り。挑戦するのはもちろん館長である。空手といえばおなじみの物体破壊だが、僕の勝手なイメージでは琉球空手はあまりそういうことをしなさそうだったので、やや意外に感じた。
 まずは、“寸剄”による瓦15枚割り。並みの空手家なら15枚程度は普通に手刀や正拳を打ち下ろせば割れるだろうが、これは寸剄、つまり手を瓦の上に置いて静止した状態から、モーションなしで一気に下まで力を徹す技である。
「セイ!リャア!」気迫を込めて瓦の上にピタリと手を置く館長。5秒ほど静止した後、グワッと体が膨張したかと思った瞬間、ビシィィッ!と瓦は下まで真っ二つになっていた。すごい。
 次はバット折り。これも空手のエキシビションではおなじみの演目だ。通常は、床に固定したバットをローキックで折る。しかし館長は、ただ弟子の手に持たせただけの硬式野球用バットを、手刀で折るというのだ。そんなことが果たして人間に可能なのだろうか? 可能なのだ。気合一閃、バットは真っ二つに折れ、真上に飛んでいった。並大抵の力、速さ、集中力で出来る芸当ではない。あとで館長の手刀を触らせてもらうと、別の生物のように硬くゴツく盛り上がっていた! そのくせそれはタコではなく、力を抜くと普通に柔らかくなる、あくまで手のひらなのだった……! 僕はこの人に一生付いていこうと決めた。人間は、目の前で見せられる“奇跡”には抗えない。

世界へ?

 大会後、館長に「スタントマンなんだって?」と声をかけられた。なんか話が誇張して伝わっているようで、しかも「黒帯取ったら、海外に進出しなさい」「世界に支部を作るのだ」「タイから誘いが来ている。タイへ渡れ」「タイ支部。給料は日本の水準で出す」とどんどん膨張していくのでビビった。あの、俺まだ入門2ヶ月で、9級なんスけど……。などと口を挟むまもなく、「押忍!」で会話は終わってしまった。タイなんかに空手道場開いたら、ぜったいムエタイの刺客とか道場破り来る……!死ぬ……!

エアギター大会への道

 琉球古武道の歴史は古いが、このオープン大会の歴史は意外と新しく、今回でまだ4回目だ。それだけに、年々レベルが上がっているとは言え、まだ新人の食い込む余地はあるともいえる。来年になるかさ来年になるかは分からないが、いつかは僕もトロフィーを獲得したいものだ。兄弟子たちの素晴らしい演舞を見つつ、そう思った。
 また、今年中に開催を目指しているエアギター全国大会の運営面での参考にもなった。やったるでー。

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うーん…いまいち…ふつうですかなり良い素晴らしい (まだ評価されていません)
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コメント / トラックバック 3 件

  1. パチョレック石川梨華 Says:

    ようやく左足小指が治ってきました

    一度フルコンで手合わせ願います(笑)

  2. 宮本 Says:

    いや、ウチはフルコン系ではないので……!

  3. パチョレック石川梨華 Says:

    フルコンは冗談っす
    スマソ

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