PRIDE GP 2005決勝戦

2005年8月31日 水曜日

 2005年、夏の終わりに、世界一熱い祭りがスーパーアリーナで行なわれた。それはまさに「人類最強」を決めるにふさわしい祭りだった。

ミルコvsヒョードル

 ヒョードルが強すぎる。あれはちょっともう、違う次元にいるというか皇帝というか、存在自体が反則というか、「60億分の1」と呼ばれるに値する強さだった。(ヒョードルさんってさぁ・・・なんかそこら辺の選手と匂い違いますよね・・・。)格闘ゲームのキャラだったら、間違いなく使うと相手に文句を言われるキャラだ。

 対戦前の煽りVでは、基本的にミルコがヒーロー、ヒョードルがヒールで扱われていた。日本人は、「やられても立ち上がる不屈のヒーロー」が好きだ。かつてのアンディ・フグのように、ミルコも大事な一戦を落としたり、不調の時期があったりして、結局KでもPRIDEでも、ひとつもタイトルをとっていない。そんなミルコが数年越しでとうとうつかんだ最強への切符。しかしそこに立ちはだかるのは史上最強の王者、という構図だ。もともとミルコもヒールっぽいイメージだったような気がするが、確かにヒョードルのたたずまいはあまりにも「ラスボス」すぎる。
 これがハリウッド映画ならば、起死回生の逆転ハイキックでミルコが勝利して終わるところだろうが、現実はそう甘くはない。

 今だから言うわけではないが、結果は予想通りだった。打撃専門で、ムラのあるミルコよりも、オールラウンダーで無敗のヒョードルの方が総合的に勝っていると思ったからだ。
しかし、あそこまでの差がついているとは思わなかった。戦前の予想では、スタンディングではミルコ有利、グラウンドではヒョードル有利、などと言われていたが、蓋を開けてみれば打撃でも寝技でも終始ヒョードルがミルコを圧倒していた。

 ストレートとキックが主体なので距離をとりたいミルコ、フックを当てたいので距離を詰めるヒョードル、という組み合わせなので、ヒョードルが前に出てミルコが下がる展開になるのは当たり前としても、ヒョードルが無造作に前に出て行くだけで、ミルコは次第に追い詰められていった。

 ミルコのミドルキックは何度かジャストミートしたし、ワンツーが決まってヒョードルの膝が揺れるシーンもあった。しかし、ヒョードルは動じなかった。1Rで足がすべったのがミルコの不幸だとしても、ミルコがヒョードルをしとめるチャンスは少なかった。

 絶対王者と謳われたシウバにも敗北があったように、「ロシアン・ラスト・エンペラー」ヒョードルにも敗北のときが来るのだろうか? 今は対抗できそうな人間が全く見当たらない。別格だ。

シュートボクセvsブラジリアントップチーム

 PRIDE絶対王者としてミドル級に君臨しつづけた怪物、ヴァンダレイ・シウバが負けた。相手はヒカルド・アローナ。今回のトーナメントで、日本を代表するPRIDEファイター桜庭を圧殺した男だ。
 シウバのジムであるシュートボクセ(ブラジル)には、現在なぜか桜庭が練習に通っており、日本に向けて出国するシウバに「がんばってください!」と、ヒカルド戦のときにかぶっていた野球帽と、自作の“サクベルト”を渡していた。
 シウバは「桜庭は尊敬できるファイターだ。ヒカルドがあの試合でした卑怯なこと(サミング)は絶対に許せない」とコメントしていた。

 プロレス的には、
「桜庭を汚いやり口で葬ったヒカルドを、敵味方を越えた友情で桜庭と結ばれたシウバが倒す」という構図にしようとしたのだろうか。シウバも悪役だったはずなのに、いつのまにアイドル超人になったのだろうか。

 いざ試合が始まってみると、2人ともかなり熱くなっている。しかしこれは別にシウバが桜庭の件で本当に怒っているわけではない。そんなアングルは不要だ。この2人の対戦はブラジル対決、それもシュートボクセとブラジリアントップチームという、間違いなくブラジル格闘界、いや世界の格闘界の頂点に君臨するジム同士の頂上決定戦なのだ。

 結果はヒカルドの勝利で、シウバも決して絶対者ではないことが証明された。しかしそのヒカルドを、シウバの後輩であるマウリシオ・ショーグンが撃破して優勝したわけで、結局シュートボクセの優位はゆるがないのだった。

 厳しい情報統制をしいた結果、ミドル級トーナメントの結果は知らないままに放映日を迎えることが出来て良かった。放映権問題に関しては、昨日のコメント欄と自らの日記(フジテレビを罵倒しているアホどもへ)内でid:tragedyさんが書いている内容に異存はない。(id:tragedyさんは、俺内3大格闘系ブロガーのひとり。)
僕の地域は素敵なJ-comさんのおかげでスカパーに加入できないのだが、id:tragedyさんはここまでしている。

スカパーに関しては私の家もアパートの関係で入れられなかったので、全額出資して友人宅に設置してもらい、PPV代も折半してみさせてもらってます。

その上、「3件ほどあった所用を時間をかけて全て排除し、万全の体制を敷いて決勝戦を迎え」られたというのだから、返す言葉もない。確かに、この試合はそれくらいの投資や労力に見合う素晴らしい内容だった。すごい試合だ。強い。鳥肌たった! 次は僕も秋葉原でふしぎな機械を買ってきて研究したりしようかとも思うが、これ以上の内容ってもうないんじゃないだろうか。ハロプロでいうと『ALL FOR ONE & ONE FOR ALL』くらいの“最終回感”にあふれた内容だった。

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