道場破り宮本

2005年10月19日 水曜日

 地元の空手道場の看板を見かけた。
「あれはなんだい?」と地元民に聞いてみると、ややあって道場の師範が出てきた。
「あんたが日本の空手家かい」
 僕は道場破りにならないように、細心の注意を払って少ない語彙を組み立てていく。「なんだ、なんだ」と、地元の男たちが5人くらい集まってきた。これはヤバい展開かもしれない。

 しかし、前回話したとおり、相手が同じ言葉を話せる人間で、しかも日本人だと知るとみな一様にくだけた感じになる。

 しばらく話していると、このホテルの入り口のバー(日本だと駐車場の出口で自動的に開閉してる、黄色と黒の棒)を上げたり下げたりすることを生業としている人々のように見える。というかそんなん、こんな大勢の男でやる仕事か? 相当進んだワークシェアリングだ。それとも一応セキュリティなのだろうか。しかしみんなTシャツとかビーサンのままだ。

 やがて僕と師範は意気投合して、「俺の道着を見せてやろう」という彼に引っ張られ、バイクの後ろに乗せられる。ちょっと嫌な予感がした(I have bad feeling about this)んだけど、ここで断ると相手にいやな印象を与えるかもしれない、という日本的配慮が浮かんで、なすがままに乗せてもらう。ノーヘルで。

 連れて行かれた先は、つい30分前までいたホテルとは180度違う別世界だった。さっきまでプライベートプールで高原を吹く風に吹かれながらトロピカルドリンク片手にボオドレエルなんぞ読んでいたのだが、その1km近くにはこんな未舗装の世界が広がっていたとは。

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 基本的に、みんな地べた。いや、床にそのまま座っているのだが、庭と家との境目に壁がないため、地べたに座っているかのような印象を受ける。日本だって和室にはそのまま座るんだけど、それはあくまでも壁で外とは仕切られているし、高さだって違う。こちらでは、石張りの床にみんなで座って、ヤキトリを食ったりしている。長いので続く。—–


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