アメリカ嫌いのパン食わずの僕が、唯一認めているファーストフード店が“サブウェイ”だ。前の会社の真向かいにあったため、よくおやつに食べていた。
サブウェイには、パンで具材を挟んである通常の「サンド」の他に、ギョウザの皮のような、小麦粉で出来た薄い膜で具材をくるっと巻いた「ラップ」というシリーズがある。これのシーフード&クラブラップがめっぽううまいのだ。ただし、次の手順で好みの仕様にカスタマイズした場合。
「タマネギ抜き、オリーブを入れて、マヨネーズは使わず、バジルマヨネーズに差し替え」 本当に美味しいので是非試してみて欲しい。サブウェイでは、パン、チーズの種類から入れる野菜まで細かく指定できる。客はショーケースを見て指示しながら、目の前で作ってもらえるので間違いがない。この方式なら、どこへ行っても最高においしいシーフード&クラブラップが食べられて、パン食わずでペスクタリアンの僕も大満足だ。のはずだった。
この間、赤坂でふと小腹がすいた僕は、サブウェイを見つけ、久しぶりに例のラップを食べたくなった。
「オリーブは入れられません」
え、じゃあ他のにするよ、と言う間もなく、すでにシーフード部分が皮に乗っけられてしまっていた。
「…あんな兄ちゃん。入れられへんってどういうこっちゃ。ほやったら何で『野菜どうしますか』聞いとるんじゃい。」
『いえ、こちらの商品には元々入っておりませんので…』
「でけへんのやったら最初から言いなや。系列店どこでもやっとるっちうに、どうしておまえントコではでけへんのや。ああ?」
『当店では出来ませんので…』
「おのれは幼稚園児かい。「なんでもできまへん」やのうて理由を言わんかい。」
『ではお代は結構ですので』
「アホウ! こちとら物乞いちゃうわボケ! 金は払ったるわ。払ったるけど商品はいらん。ワシはオノレの納得でけへん食べ物はよう食わん言うとるんじゃあ!」
…などというやりとりはなく、僕は「あ、そう…?」と曖昧な笑みを浮かべて受け取った。ショックすぎてバジルマヨネーズにするのすら忘れていた。食べてみると、やっぱりあの味はしなかった。僕はもう多分サブウェイには行かないだろう。店にとって本当に困るのは、上記のようにクレームを言ってくる客ではない。客が不満を表明してくれれば挽回のチャンスはある。怖いのは、こうして無言でいなくなる客だ。
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