[09] サイト読者層の変遷

2006年12月2日 土曜日

 懐古話。テキストサイト(ブログ)は、その開設からの経過年によって、読者層が変遷する。

 まず第一ステージでは、人は開設したての自サイトが可愛くて、様々なアクセスアップ対策を講じる。たとえばランキングへの参加、他サイトへの書き込み行脚、掲示板での宣伝などだ。そこでは大抵、同じようなステージのサイトが集まることになる。価値観やサイトへのスタンス、目標などに共通点があるため、そこに共感と連帯感が生まれるからだ。ここでの読者層は、“ネット上の交遊関係“。

 第二ステージでは、一歩進んでその同期サイト達とのコミュニケーションが密接になる。具体的には、相互に文中リンク(トラックバック)を頻繁に交わしたり、オフ会を行なったりして、サイトの文章をのみ介した関係から、個人間の関係性へと発展する。コンスタントに更新されていれば、ようやく固定客がつきはじめる。読者層は“ネット上の交友関係”+“固定客”。

 第三ステージは、過渡期である。ここでは、しばしばサイト(ブログ)で形成された人脈のほうが、サイト(ブログ)の更新よりも優先されがちである。すなわち内容的には一般アクセスに配慮しない内輪向けのものになったり、そもそもオンラインでの更新よりもオフラインの交流が優先され、更新されなくなったりする。結果、何が起こるか。サイトを介したつきあいではなく、普通にチャットやオフ会で交流ができるようになると、ネット上の交友関係はもはやお互いのサイトを必要としなくなる。読者層は“固定客”あるいは、なし。

 第三ステージで閉鎖せずに次のステージに進んだ場合、サイトの運営方針は定まっているはずだ。するとこの第四ステージは、安定期とでも言うことができるだろうか。ここでは、人は自分が何のためにサイト(ブログ)を始めたのか、そこに何を書きたかったのかを意識するようになる。ここで「交流のためのみ」と答える人は、このステージには存在しない。また、第一ステージからの交友関係が残っていたとしたら、ここでは読者に回帰している。

 これは同時に、読者に「なぜそのサイト(ブログ)を読み始めたのか」という問いを突きつけることにもなる。もはや、形式的な関係は存在しない。そこにあるのは、明確な意識を持って自分自身を発信し続ける運営者と、もの言わぬ読者との、雄弁かつ平穏な、緩やかな信頼感をベースとする相互依存関係なのである。読者層は“読者”そして“自分自身”。

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コメント / トラックバック 2 件

  1. hatayasan Says:

    「明確な意識を持って自分自身を発信し続ける運営者と、もの言わぬ読者との、雄弁かつ平穏な、緩やかな信頼感をベースとする相互依存関係」

  2. REV Says:

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