手術日記

2006年12月7日 木曜日

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 普通の日記です。会社を休んでシウツしてきました。部位は、物心ついたときから足の裏にあるほくろです。このたび切除することになったのです。最近、同じく足の裏のほくろをとった知人がことあるごとに「宮本さんはいつ行くんですか」と、早くしないと死にますよとでも言わんばかりの勢いで勧めるので、夏の妙な雰囲気で、つい頷いちゃったのでした。

 彼の場合は「1週間前に突然できた」という、なんだかヤバげな発生の仕方なのでまあわかるんですが、僕の場合は多分生まれつきなので良性だと思うんですけどね。診察した医師の話によると、「良性のものが突然変異して悪性(ガン)になった症例は、まだない」とのことでした。つまり、悪性は最初から悪性であった、と。しかしここが医学の難しいところで、診断は常に帰納的推論(現象を沢山集めて、共通項から法則を導き出す)なので、あくまで「まだない」であって「ありえない」にはならないんですね。

 しかし今日はわざわざ会社を休んで切りに来たので、「先生、本当のことを言ってください!」「それでも切ります。」と強硬姿勢のうざい患者になりました。

 絶対泣きますよ、と予告されていたぶっとい麻酔注射を、平然と本を読みながら耐えた俺。えらい!(セルフイメージは関羽)
 手術は30~40分かかるということなので、本を読ませてもらうことにしました。手術台の上で。なんだか美容室で髪を切ってもらってるみたいですが、手術です。

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 手術前には、もちろん麻酔注射をします。知人から「麻酔注射がとにかく痛い」「絶対うめき声が出る」「麻酔注射のための麻酔が必要」とさんざん脅されていたので、絶対ぇ平然とした顔で受けて立ってやる!と闘志を燃やす俺。

 本を読みながら涼しい顔して受けましたが、確かにかなりいたかった。しかも四方から打つので、痛み×4。痛みの質としては、歯医者の麻酔と全く同じでした。きゅーーっという染み渡るような痛み。

 これが俺の生涯初しゅじゅちゅ。しゅじゅちゅちゅうに、「そういえば背中にアテローム(粉瘤)があって、それもいつかとりたいんですよね」と言ってみたら、「じゃあとっちゃいますか?」と、その場でついでにとることに。本当に美容室みたいになってきました。カットのついでにカラーリング、的な。

(アテロームとは!簡単に説明すると、皮膚の一部分の遺伝子情報がエラーを起こして裏返ったような状態になり、皮下に袋状の部分ができる。そんでそこに分泌物とか古い角質(要するに垢)がたまり続ける、という絶対に死なない奇病。俗に「しぼうのかたまり」と呼ばれたりもするけど、別に脂肪ではない。無理に潰したり自分で切ったりしようとすると、化膿して炎症を起こし、袋が破裂して周囲の組織と同化、二度とちゃんと摘出できなくなってしまうと言う…。知らずに自分で何とかしようとしなくて良かったー。)

 麻酔をしてても、皮膚を引っ張ったりなんか刺したり切ったりしている「感触」は伝わるので、なんだか変な感じ。でもこれで見ないで済んでいるからいいようなものの、体の前面とかだったら大変だな。目だったら発狂してしまうかもしれない、と思った。

 摘出したブツを見せてもらうと、予想より大きく、ソラマメ大の新円の白い物体だった。つるんとしていて、珍しい魚の内臓みたいな不思議な質感だった。記念にデジカメで10枚くらい激写させてもらった。考えてみれば、これに最初に気付いたのは高校生のころだったので、豆粒大だったころからかれこれ 10年も背負っていたわけである。そう考えると感無量であり、思わず「記念にください」と言ってしまうところだった。画像は載せません。

 しかし今はとにかく痛い。考えてみれば、皮膚を3cm幅、深さ1cmに渡って切り裂き、糸で縫い合わせているわけだから、麻酔が切れれば痛くて当たり前なんである。傷と同じだもんなぁ。
 しかし10年来の懸案事項が解消されて、非常に晴れ晴れとした気分。この勢いなら親不知も抜ける! …かな…。


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