秋祭りの日
近所で秋の祭りがやっていた。
商店街が歩行者天国になり、各店舗が自分の店の前に出店を出して、ビールやおつまみを売り、町内会の人たちがかついだ御輿が出てくる、まさに地域密着の本当の祭りである。実に面白かった。
たぶんこれって、「何を今更」というか、全国津々浦々どこに出もある秋の光景なんだと思う。だけどずっと造成地の新興住宅街で生まれ育った僕にとっては、こうした地域の人のつながり、伝統的習俗に触れられなかった。新しく拓かれた街には、神社がなく、商店街すらない。買い物は全て大型スーパーで、祭りは「市民祭り」だった。そこで祭られるべき神はどこにもいない。神がなければ、人もいない。
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夕飯は近所(自宅アパートから徒歩1分)の個人経営のレストランで記念ディナー。仲睦まじい若夫婦二人でがやっていて、いつ来てもアットホームな雰囲気で美味い料理が出てくるので気に入ってる。こういう店も生まれ育った街にはなかった。
ワインも自然派を中心に色々取りそろえてあるので、酒飲みの常連客も多いようだ。僕らが行ったときには、すでに先客がかなりできあがっていて、熟年夫婦の奥さんらしき人の方が感極まって泣いていたり、30代女子とおぼしきグループが「男女は分かり合えるか」で激論を戦わせたりしていた。
前菜についていたアイスプラントという野菜。水滴が凍ったような透明なつぶがたくさん付いていて、食感がシャキシャキとして面白い。温前菜のキノコのグラタンは、むっちりとしてとても食べ応えがあり、メインの白金豚のジューシーさもまた絶妙だった。全部の皿で一杯ずつワインを出してもらい、すっかり良い気分になってしまった。
食後にバースデーケーキを出してもらったんだけど、期せずして店内のお客さんが「ハッピーバースデー」の大合唱をしてくれて、嬉し恥ずかしかった。何というアットホーム。いい酔っぱらい。
帰りに夜景を見て帰路へ。この街に来てもう2年が経つ。もうすぐ引っ越すことになっているけど、もう少しこの街に住んでいたかった気もする。
2009年10月18日 at 23:59
九十九式更新! 秋祭りの日 http://bit.ly/3azjx5