仮面ライダーW 感想 (作品総評)

2010年9月2日 木曜日

これまで見た特撮シリーズの中で、一番面白かったかもしれない。仮面ライダーW。

例によって、「最初から症候群」の発作が出てしまい、DVDとハードディスクをずっとさかのぼっていて、最終回でようやく『W』を見るのにも追いついたんですが、いや、これ面白かったですね。
「仮面ライダーで探偵もの」ということで、『探偵物語』風の洒脱な世界観(実際、コーヒーを吹くオマージュがある)なんですけど、それでもちゃんとこの上なく仮面ライダーでした。(仮面ライダーというフォーマットの懐の深さ故か?)

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特徴


設定は「2人で1人の探偵ライダー」。二人同時でないと変身できない、それは言ってみれば半端なライダーなんですが、その制約がスリリングな展開を生じさせると同時に、二人の主人公の『相棒』という絆になってドラマに深みを与えることにも成功している、実に巧みな設定です。

基本的には2話完結で、その中でちゃんと事件編・解決編と分かれていて、ちゃんと探偵ものとして謎解きが成立しているところがえらい。朝の子供向け番組の30分の中で、よくぞここまで、という感じです。その2話完結の事件を横糸として、物語の舞台『風都』と、敵組織との関わり合いが縦糸を織りなして、少しずつ主人公と仮面ライダーとの謎が解けていく展開も大河ミステリといった風情で心地よい。
終盤のシリアスな展開なのに、敵の攻撃で主人公が丸々1回分老人になってしまったり、2号ライダーのひたすらハードボイルドな話だったりと、2話簡潔の探偵ものとして色々な人に脚本を書いてもらったのも、物語にバリエーションが生まれてよかったんじゃないかと思います。(監督、脚本担当一覧
中でもメインで脚本を書いた三条陸さんは、『ダイの大冒険』の漫画原作でおなじみの人ですね。ジャンプの黄金期をサバイブしてきた熱血物語の組み立て方はさすがです。

つくりが丁寧

あとはとにかく丁寧。設定、ストーリーや小道具など、とにかく細部まで作り手が愛情を持って作り込んでいるのが画面を通して伝わってくるのも好印象。公式サイトで、劇中ラジオ『園咲若菜のHealing Princess』をストリーミングで再現してしまったり、「夢の中」のシーンの撮影のためにわざわざ江戸村で撮影し、変身小道具まで時代劇風のものを用意したりと、本気部分も遊び部分も本当に丁寧ですばらしかった。子供向け番組だから、といったようなごまかしや妥協は一切感じられなかった。

子供は、実は子供向けを嫌う。僕も子供のころ、意味はほとんど分からないながらも、『(1st)ガンダム』のハードな世界観に魅せられていたのを思い出します。かといってこの『W』が子供を置いてきぼりにしているわけではもちろんなくて、ちゃんと特撮ヒーローとしての格好良さ、立ち回りやガジェットの魅力も申し分なく、子供と、一緒に見ている(見させられている)大人とが一緒に楽しめる、理想的な親子番組だったんじゃないかと思います。

テキストサイト界の霧彦さんことドリフトウッドさんも、Twitterでこんな風に言ってました。

プリキュアはちょっと分からないんですが、ダブルは大人でも本気になれる、本当に「格好良い」作品でした。翔太郎のハーフボイルドも、おやっさんのハードボイルドも、照井竜の昭和ドラマも、全部良かった。いやぁ、これは何らかの形でみんなに見て欲しい作品ですね。


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うーん…いまいち…ふつうですかなり良い素晴らしい (5 投票, 平均値/最大値: 5.00 / 5)
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コメント / トラックバック 2 件

  1. TK Says:

    特撮ファン的にはデカイエローとかハリケンブルーとかメレとか、毎回ゲストが特撮関連の俳優さんだったことも楽しめるポイントでした。もちろんこうしたマニア向けのサービスは子供向けとしての本筋をちゃんと作った上での付加価値だからこそ楽しめるものですが。 

    あとは最近のライダーには珍しく、ライダー同士でグダグダ争う展開がなかったことも良かったです。みんなの敵=怪人をやっつけるからこその正義の味方ですからな!

  2. 宮本 Says:

    ほんとだ!東映公式(ネタばれ回避のために今まで封印していた)を見てみたら、特撮出演履歴のある人たちのオンパレードだったんですね。
    霧彦さんの妹が、山崎さん(マジレンジャーのヒロイン)だったのは、全く気付きませんでした。

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