『ボーン・アルティメイタム』は最高傑作

2011年8月10日 水曜日

『ボーン』シリーズ三部作、堂々の完結作品。これは文句なしに面白く、アクションサスペンスの最高傑作と評してまず間違いないだろう。
時間軸は、第二作『スプレマシー』と前後して進み、なぜ前作でボーンは危険を冒して再びニューヨークに現れたのか、その理由が明らかになる。
ボーンが記憶を取り戻すのにつれて、国家機関の背後にうごめく謎もまた明らかになり、真の敵の姿が見えてきたとき、前作の敵は敵でなくなっている。

手の込んだ設定のサスペンス映画でありながら、今作は「初めての人にも分かるように苦心して作った」と監督が語るとおり、くどくならないようにうまくこれまでの経緯や背景が説明されていて、前作を見ていない人や、ずいぶん経って前の話を忘れてしまったような人出もちゃんと話についてこれるようになっていたのではないだろうか。(勿論、全2作を見ている方がより深く楽しめるのは言うまでもない)

実際、Amazonレビューでも、全2作を見ていない人が最高評価を下している例が見受けられる。

B0034YI8IUこの超人的タフさが観るものに一定の安心感を与えてくれている。そしてボーンがその類まれな能力を駆使し、先手を打ち続け、たったひとりでCIAを翻弄してゆくところが痛快で、大きな魅力。もうひとつ、ヨーロッパの街並みなどの景観映像の美しさも魅力です。映画全体に知的センスが漂い、どこか華麗な感覚があるのです。アクションものに本来関心の薄かった私は前2作を見ずいきなり観たのですが、そういう状況の私でも、満足感が超高く、感服でした。Amazon.co.jp: ボーン・アルティメイタム [DVD]

今作でも、『ボーン』シリーズのウリの一つであるアクションシーン、とりわけカーチェイスシーンと追跡&格闘シーンのクオリティは素晴しく高い。特に追跡&格闘シーンについては、「今回は意識的に長尺にした」という監督の言葉通り、非常に見応えがあり、かつテンポの良い編集と演出のせいで「長さ」を感じさせないスリリングな追跡&格闘シーンに仕上がっている。

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いわゆるヒロインらしきヒロインが出てこないのもポイントが高い。どこかの英国諜報員だったら、1作ごとに新しいヒロインと仲良くなってあんなこといいなできたらいいな、アンアンアンというう風情になっているのだろうが、我等がヒーロー、ボーンは決してそのようなことはしない。彼にとってのヒロインはあくまでも1人で、2,3作の彼はその追憶と復讐のために生きている。渋い。

そして緊迫と衝撃のラスト。主人公、ライバル、黒幕の思惑が絡み合って一つの場所に収束していき、着火点に到達する。
第1作で海から現れたボーンは、再び海へと消える。その姿は、海底へと葬られていくゴジラのそれであり、包囲する警官隊の群に跳び蹴りで突っ込んでいくブルース・リーのようでもある。
この作品で、ボーンは揺るぎない「ヒーロー」の地位を完成させたと言っても過言ではない。

★★★★★


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