「大学生メールのスベってる書き出し」って テキストサイトの「挨拶」だよね

2013年8月3日 土曜日

大学生のメーリングリストにて、書き出しの名乗り部分がスベってるよ、という指摘がTwitter上で話題になっていたらしい。先々月の話だけど。

大学生がメーリングスリトを使って送る書き出しがスベっている、というツイートがTwitter上で話題になっている。

「梅雨の高湿度で髪型がきまらない」というあるあるネタを、大げさに表現…。

これがおもしろくない、という指摘にさまざまな反応が集まった。
大学生が書くメーリスの書き出しがスベってる!? – トゥギャッチ”

なるほど。
まあ単純に「山田です」だけだと事務的すぎるかな、ということでちょっとおちゃらけてみたということなんでしょうね。

しかし。
うーん。なんかこう…そこはかとなく感じる既視感。

と3秒ほど考えて気づきました。
これは、我々日記系-テキストサイト者が通った道である、と。

『日記系―テキストサイト』とは、日本におけるインターネット発展期からブログ揺籃期(1998~2005くらい)にかけて流行した、個人サイトのいち形態である。
そうしたサイト群において、よくこうした「枕としての書き名乗りネタ挨拶」が使われていた、ような気がする。

我が家のデータセンターに格納されている日記アーカイブから、実例をいくつか見てみよう。

テキストサイトで使われたツカミのネタ挨拶

『マフラー』より

2002年1月20日

日本全国の夢見る軟便の皆様こんばんは
東京在住の悩める下痢便・岩倉です

2002年2月10日

もしも世界が100人の岩倉だったら…
全員デブ

まあそういう感じにね

2002年3月12日

いやもうマジでね
「岩倉、世界に絶望の巻」ですよホント

2003年04月05日

ハイホー! みんな超オヒサ!! 岩倉だよ! キャピキャピーッ! 超超超、いい感じ、超超超超いい感じーッ! トオーッ! (きりもみ回転しながら脱糞)(着地したところに地雷)(糞と共に爆発)(当サイトは戦争に反対します!)

カッコで(血を吐きながら)みたいな形式があったけど、それを極限までエスカレートさせた挨拶。

『桃色核実験』より

2002 12/2

世の中に対して特にこれといった不安も持ち合わせていない朕ですが、そろそろ「都こんぶ」の奴には一言言わなきゃなんねぇと思ってる。あいつ、進化しなさすぎ。食べやすくならなさすぎ。

(2004/8/6 0:35)
ワシだ。小林よしのりだ。コーマンかき混ぜてよかですか?

もはや名乗っていない。

『ドリフトウッド』より

2005-09-29
疎遠になった日記との関係を再び、プロゴルファー猿よろしくこの手に勝ち取るため、ハンドルネームも「日記」にしたし、先日、このページのヘッダ画像も変えたのである。労働とかいう珍奇な名前のツンデレ子に追われているという事実が変化しそうにないことに加え、のみならず、さほど変化しない自己の内面をハンドルネームやヘッダ画像といった外郭的要素でとりあえず埋めようという行為は、やはり浅はかで、根源的な解決を伴わないのであるが、あの子、僕がロングシュート決めたらどんな顔するんだろう、といった風情で外面的なアピールをすることで日記に再度アプローチし、日記からの関心/歓心を得るために邁進する様は、an an的処世術を衒いなく実践してしまうような痛ましさといじらしさがあるな、と我ながら思う。いつだって、日記書きにとって、問題なのは、あの子――つまり日記――は僕が会心の日記を書いたらどんな顔をするのであろうか、ということなのである。そのためには、ヘッダも変える、ハンドルネームも変える、そして道化ともなろう……このように、シャア・アズナブルのような面持ちで、そう独白する男がつまり、こんにちは、こんばんは、僕こと日記(あとちょっとで三十路)と申します。

挨拶だけで500文字を超える日記って凄い。ほとばしる日記欲。

人の挨拶ばっかり晒すのも悪いので、恥を忍んで拙日記からもいくつか例を提示します。

『九十九式』より

2005年5月8日 日曜日

最近ずっと宙返りの練習をしてるんですが(ニンジャだから)、練習のしすぎでめちゃめちゃ腹筋が痛い。クシャミひとつでちぎれそうになるほど筋肉痛の宮本・ザ・ニンジャですこんばんは。

2005年7月19日 火曜日

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ニンジャー、ニンジャー、月島もんじゃー!  (シー・・・ン)どうも、宮本・ザ・ニンジャです。

2009年11月9日 月曜日

睡眠不足と戦いながら、毎晩徹夜で睡眠の質を高めるための研究を続けている宮本ですが、皆さんこんばんは。よく眠られてますか。

2009年10月27日 火曜日

書ける書ける絶対書ける!あきらめるな書ける書ける!更新できるって!気持ちの問題だ書ける書ける積極的に書こうポジティブに更新しよう!! …というわけで今日も更新します宮本です。

考察・なぜテキストサイトで「挨拶」が発達したのか

1.日記作法がエスカレートしたから

本当に最初の最初は「○○なナントカです。」くらいの挨拶だったはずの書き出し分。
しかしそこはとにかく面白さを、人より目立つことを求道し続ける日記者たちのこと、ただの挨拶では飽きたらずにネタを盛り込むようになっていった。2002年くらいまでは普通に「○○で××!(挨拶)」みたいにツカミのネタとして多用されていたけど、2003年くらいには結構廃れて使われなくなって、突拍子もないネタだったり異様に長文だったりと、進化している様子が上記サンプルからも分かる。

2.本文が日記でなくなったので日記が必要になったから

これも変な話なんだが、「日記系」「テキストサイト」と言いつつ、本当に日記を書いているサイトは少なかった。本文は随想だったり、ネタ文章だったりするので、日記執筆者自体の近況を、挨拶部分に込めたのではなかったか。

そういう世代

こうした「ネタ挨拶」も、日記系テキストサイトの衰亡と共に見かけなくなって久しい、と思っていたんですけど、やはりそこは人間のやること。歴史は繰り返すものなんですね。
当時、毎晩日記を書いてた人たちも大学生くらいの世代が多かったような気がするので、そういう年頃なのかな。


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コメント / トラックバック 1 件

  1. uturi Says:

    会社の上司からのメールがこういう書き出しなんだよなぁ……人は歴史を繰り返すのか。

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