【九十九式映画評】ブラッド・ファーザー

2020年12月30日 水曜日

俺の好きな映画のパターンにはいくつかあって、“報復・復讐もの”、“子供を守って戦うもの”、“銀河帝国の暗黒皇帝と光る剣で戦うもの”とある。そのうち、これは“子供を守って戦うもの”にあたる。

犯罪歴とアル中の既往歴がある初老の男が、麻薬シンジケートがらみのトラブルに巻き込まれた娘を守って、獅子奮迅の働きをするという筋書き。

娘といっても、17歳の結構大きい子供だ。しかしメル・ギブソン演じる主人公ジョン収監により夫婦は離婚しており、しかも娘は失踪していて、2人が会うのは実に10年ぶりなのだ。

多感な思春期に一緒の時を過ごせなかった2人は、最初は全くぎこちなくて、噛み合わない。しかもジョンからすれば、10歳の少女が17歳の女になって現れたばかりか、ほとんど全ての発話に「ファック!」がつくようなアバズレになっていて、あまつさえ人を殺してるというのだから、戸惑いもひとかたではない。

それでも、「何があっても、ギャングからも警察からも俺がこの子を守る」と決意する所はこの映画の主題である「父権」そのものであり、暴力には徹底的な暴力で対抗する様は実にアメリカ的なマッチョイズムで清々しい。(と言ってもこの映画、アメリカが舞台のくせしてフランス製作なのだが)

バイオレンスムービーというより、逃避行の中で親娘の距離が縮まっていくあたり、ロードムービーのような趣がある。

メルギブソンは、やはり荒野が似合う。娘役のエリン・モリアーティ(『ザ・ボーイズ』のスターライト役)も良かった。彼女のビクビクと怯えるような表情、仕草には、庇護欲(父性本能)をくすぐるものがある。

自分にも娘がいる人か、メル・ギブソンまたはエリン・モリアーティが好きな人なら楽しめると思う。

★★★☆☆

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