あぜ道を歩く

2005年10月9日 日曜日


 バリでは、プライベートプールのある高原リゾートホテルに泊まった。ロビーとヴィラとの移動にはモノレールを使い、オープンエアーで山々を一望できるテラスのレストランがある、本物のリゾートホテルだ。

 朝食時、レストランのウェイトレスに、知人のMさんによく似た人がいたので「アンビル・フォト?」と頼んで、浮かれた観光客丸出しの顔で記念撮影をした。後でMさんに見せてあげよう。スパイスの効いた現地風の味付けがなされたフレンチ。子牛のステーキはスプーンでスッと切れるほど柔らかく、新鮮な果物を生絞りにしたジュースで作られたピニャ・コラーダは極上の甘さだった。

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 しかし夕食前にホテルを出て、しばらく歩いてみると、そこはド田舎だった。さっきまで自分がいた場所とのあまりの落差に驚く。鶏がそこら辺を歩き回り、犬や子供が走り回り、女たちは草刈りをし、男たちは明日からのお祭りの準備をしている。道は基本的に未舗装か、されていてもボコボコ壊れている。しばらく歩くと小学校があったが、屋根がなかった。

 おそらくホテルの観光客はこんなところをうろうろしたりしないのだろう。ホテルを出るときも、「どこに行きたいのですか」と聞かれ「散歩だよ」というと「どこまで行くんです。車かバイクをお出しします」と言われた。「だから散歩。徒歩でこの辺をぶらぶらするだけだ」と言うとやっと納得してもらえた。

 地元住民も、突然ふらふらと現われた日本人にぎょっとして振り返る。こっちが不安なのと同様、向こうも怖いのだ。お互い異質な相手だから。しかし、目が合ったときににっこりしてこちらから「こんにちは」というと、向こうも途端に笑顔になって「どこへ行くんだい?」「どっから来たの?」と返事をしてくれる。お互いが心底ほっとした気持ちになり、友好的な空気に変わる。挨拶によって、“異質な相手”から、“意思の疎通を図れる相手”に変化したからだ。—–


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