土日も休まず自分を封印して、会社のために人生を費やせる人、募集中

2010年8月2日 月曜日

GIGAZINEの出している『求人募集』という求人原稿が、Web上で大きな反響を呼んでいるようです。

時間がある人はぜひリンク先を読んでみて欲しいんだけど、かなり長いのでちょっと下にかいつまんで引用してみます。

【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します

2007年の秋以降、ことあるごとに人材を募集してきましたが、今回はさらにもう一段階上のレベルアップを目指し、これまでとはまったく違う視点と条件で人材を募集することにしました。

端的に言うと、自分の時間を切り売りして時給換算し、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」というような消極的考え方をする人ではなく、「自分はGIGAZINEだからこそできることをするためにGIGAZINEで働きたい、ほかのところでは働きたくない!」というプロフェッショナル的な考え方をする人を求めます。余所でも働こうと思えば働けるような人ではなく、「GIGAZINEだからこそ働きたい!」という人を求めます。

(中略)

記事を作るというのは自分自身の全能力が問われるものであり、自分自身の成長なくして良い記事は書けません。ですが、その価値観を理解できる者とできない者との間の差は年々拡大していき、成長する者は自分のあらゆる時間を使って自己研鑽し、そうでない者は金の払われる業務時間内だけ仕事をして、プライベートの時間はすべて仕事以外に費やしました。結果、その実力差はもはや私が許容できる範疇を超えてしまったのです。できる者はますますできるようになり、できない者はますますできなくなっていくという格差が発生したのです。

(中略)

それらすべてを支えるために、私自身は土日祝も休まずありとあらゆる犠牲を払ってそういった人でも変わるのだと信じて今まで支えてきましたが、一度しかない私の人生を他人のためだけに費やし、自分のやりたいことをすべて封印し、能力を削られ、その果てに読者から「GIGAZINEはつまらなくなった」というようなことを言われ続けては、何のために何をしているのかがわからなくなりました。

(中略)

GIGAZINEで働くという事は、普通の雇用主と労働者の関係とはまったく違うのです。「ニュースサイトで記事を書くというのは、普通の労働とは絶対に違うのだ!」ということを事前にちゃんと理解していただきたいのです。このことはブログを書いたりしている人であれば直感的に理解できると思います。好きだからこそきちんと書くのであって、ノルマで書いているわけではありません。バイトやパートの延長線上の時給ベースの時間の切り売りで考えていてはだめですし、自分のプライベートの趣味のためのお金が必要だから、遊ぶ金が欲しいから、ただそのためだけに働くというような人だらけでは、お互いに不幸になるだけだからです。

(中略)

かなりハードルが高いことは承知していますが、願わくば、私と同じような志を持つ「同志」に来ていただければ、と考えています。いっしょにGIGAZINEを高みへ押し上げて、ひとりでは決してできないことをGIGAZINEでいっしょに実現しましょう。私は私と同じような人を、ここで待っています。

【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します – GIGAZINE

ここまで断言されちゃうともう逆にぞくぞくしちゃいますね。絵に描いたような「労道」。自分でおこした会社たるGIGAZINEというものが編集長にとってとっても大事なものなのは分かります。だからこそ、「一度しかない私の人生を他人のためだけに費やし」てでもがんばれるわけですよね。しかし、そういう部分まで含めて「経営」、マネジメントでしょうに。「土日使って一度しかない人生を他人のために費や」すのが嫌だったら、人を雇って事業などせず、自分一人でサイト運営してればいいのです。

そもそも、自分は「土日祝も休まずありとあらゆる犠牲を払って … 一度しかない私の人生を他人のためだけに費やし、自分のやりたいことをすべて封印し…」とぼやいているくせに、人には「土日祝も休まず能力の向上に努め、自分のやりたいことを封印して、一度しかないお前の人生を会社(GIGAZINE)ために費やせ」と命令する。その根拠は?

店で買い物をするのは、客と店との価値の取引です。店はサービスや商品を提供する。客は金を払う。

同じように採用ってのは応募者と採用側の価値の取引でしょう。労働者は労働力や知識を提供する。雇用者はそれに見合った報酬(金銭、名誉、その他)を支払う。
金の文句を言わず寸暇を惜しんで能力向上に努めてくれる社員が採用側にとって有難いのはわかる。では応募側のメリットは? この募集からは全く見えてこないんですよね。

  • 「ニュースサイトで記事を書くというのは、普通の労働とは絶対に違うのだ!」
  • いっしょにGIGAZINEを高みへ押し上げて、ひとりでは決してできないことをGIGAZINEでいっしょに実現しましょう。
  • 私は私と同じような人「同士」を、ここで待っています。

というような所を見ていると、どうもGIGAZINEさんが求めているのは、社員じゃなくて共同経営者なんじゃないでしょうか。
金は払わん、人生の時間を全て捧げよ、その報酬はGIGAZINEという特別なところで働くやりがいと名誉だ!ということなんでしょうか。ちょっと自分の会社を特別視しすぎなのでは。自分の作品(サイト、会社)に対する思い入れは大事だと思いますが、それは必ずしも他人に共有できるものとも限りませんからね…。

この文章の真の対象は?

さて、この文章、こうして応募者向けにしては気が滅入るようなことばかり書かれていますが、どうもこの文章は、本当は社内向けに書かれた警告文なんじゃないでしょうか。
そう考えると、本当に言いたかったのはこの箇所かな。

この現状を立て直すため、本日付でついに編集部員一名を手始めに解雇しました。

今後も、反省の見られない者、GIGAZINEにとってプラスになる業務命令に従わない者、あまりに価値観の違いすぎる者は順次、やめていかざるを得ない状態になると思います。GIGAZINEで記事を書くというのは決して肉体労働ではなく、自己実現を兼ねている知的作業のはずなのですが、ただの「労働」として捉えているような者との価値観の落差に私がもはや耐えられず、なおかつ読者に提供される記事の質の低下も目に余るものが出ているため、次のような方針転換に至りました。

これまでは能力重視で採用していましたが、それ以前の問題として、そもそも本当にGIGAZINEで働きたいと思っているのか、それはGIGAZINEでないと実現できないことなのか、そういった「価値観」の一致と不一致を今回は最重要視します。

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これで社内の人が「ついていけねーよ」と辞めていって、新しい応募者は全然来ない、という逆効果な結末に終わらなければいいのですが。
いや、それはそれでいいのかな。『らばQ』はたった3人でやっているわけですし、初心に戻って一人でニュースサイトとして運営するのもいいのではないでしょうか。
「私は自分自身が苦もなくどのようなジャンルの記事でも書くことができた」そうなので。

あとは海外ニートさんの出番ですね。
(その後、書かれてました →2010/08/08 日本の職場満足度が世界最低なのは「当たり前」。 ニートの海外就職日記


この記事の評価は:

うーん…いまいち…ふつうですかなり良い素晴らしい (8 投票, 平均値/最大値: 4.88 / 5)
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コメント / トラックバック 2 件

  1. lovecall Says:

    『金は払わん、人生の時間を全て捧げよ、その報酬はGIGAZINEという特別なところで働くやりがいと名誉だ!ということなんでしょうか』

  2. kanimaster Says:

    ギガジン問題。

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