キスは少年を浪費する

2001年9月11日 火曜日

「本日は当九十九式をご利用いただきまして、まことにありがとうごじゃいます。バスガイドの加護ちゃんでごじゃいます」

 そう言えば思い出したのですが、僕は十年くらい前にTVKでやっていた『CYBER
MEME』というテレビ番組を毎週欠かさず観ておりまして、その番組のメインキャラクターであるところの東京パフォーマンスドールさん(通称パードル、TPD)を結構な具合に好んでいました。流石に現在のモーニング娘。さんまでにお熱を上げていた訳ではなかったのですが、適度なマイナー感とプロフェッショナルな技術を同時に持ち合わせるパードルさんは、集団アイドル属性を先天的に所有する僕の恰好の餌食となるに十分だったのですよ。
 とある雑誌によれば、つんく♂さんは「いつか、TPDのようなグループを作りたかった」と発言しているそうです。この言葉には納得するしかありません。

 モーニング娘。をおニャン子クラブに照らし合わせる人が沢山いらっしゃるようですが、それは大きな間違いです。どちらのグループもテレビ番組内企画として立ち上がったものであり、また母体から様々なユニットが派生しバラ売りをする、という点では確かに共通しています。しかし、おニャン子クラブは、あくまで芸能人予備軍的、或いは放課後のクラブ活動的な「身近さ」が売りで、彼女達の芸能人化・プロ化はおニャン子クラブの終焉を意味するものでした。つまり、おニャン子クラブは一つのステップだったのです。
 一方、モーニング娘。は、決してステップではありません。新メンバーが現在のメンバーの仕事っぷりを見て「プロだ」と囁く事実、また、モーニング娘。に入る事が一つの目的になっていると言う事実からも分かるように、モーニング娘。はキャリアの為のステップではなく、それそのものが夢、或いは、一つの到達点なのです。確かに、大ブレイク以前のモーニング娘。はプロフェッショナルと呼べるようなものではなかったかも知れませんが、少なくとも現在のモーニング娘。は完全なるプロフェッショナルです。

 もし、モーニング娘。に雛形のような存在があるとするならば、それはおニャン子クラブでもなく、もちろん乙女塾や桜っ子クラブさくら組でもなく、東京パフォーマンスドールなのです。モーニング娘。のデビュー切っ掛けはテレビ番組であった、という事実はさておくとして、グループの指針を決定するのはあくまで、レコード会社である、という点において、モー娘。とパードルはその他のグループと一線を画し、そして、それ故に(アイドルそしては間違った方向性なのかも知れないが)アーティスティックな方向性を打ち出しています。しかし、パードルについてはそのコンセプトの先鋭性が災いしたのか、決して大ブレイクする事は出来ませんでした。現在生き残っているパードルのメンバーもはっきり言って大した事ありません。すげえ、良かったのになぁ……。
 まあ、パードルの失敗をどこかに求めるなら、それは確固たる意志を持ったプロデューサーがいなかった、というところにでもなるのでしょうか。日本のアイドルオタクを相手にUKを見本としたポップでクールなクラブシーンを作って、日本のカイリー・ミノーグを輩出するぞ、っていうコンセプトが、元々無理な話であって、しかも、それを実現させられるような人間は誰ひとりいなかった。その可能性を多少持っているであろう小室哲哉もパードルと絡んでた時は、プロデューサーとして名が売れていた訳でもないし。全く残念な話だ。
明らかに先を行き過ぎていた非運のスーパーアイドルグループ、東京パフォーマンスドール。
 そう考えると、モーニング娘。はつんく♂さんという大きな才能をバックに据えて、しかも、高望みのコンセプトを掲げている訳でもなく、とても恵まれているのであろうなぁ、なんて事を考えながら、在りし日のパードルに思いを寄せつつ、台風で荒れ狂う街を『ミニモニ。テレフォン!リンリンリン』の為に滑走した僕でありました。

「ご乗車ありがとうじゃいま。お忘れ物なきようお降りください!」

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