小国のファシズム、大国のエゴイズム

2003年3月17日 月曜日

 なんとこのご時世に、独裁体制を打ちたてた国がある。スイスの隣にある小国、リヒテンシュタインだ。
 まぁ正確には独裁というより絶対君主制に近いと思うんだけど、なんとも勇ましい話だ。憲法改正によって、理由を明示せずに政府を解散できるようにするなど、立法、行政、司法の三権全ての面での権限強化が成されたとか。当然賛否両論、侃侃諤諤の議論があったようだけど、最後は「皇太子を連れてオーストリアに移住しちゃうぞ」との脅しが効いたんだとか。それが脅しになっちゃう国ってのも凄いな。日本でもし同じような事が起こったらどうなるだろう。多分ダメですね。

 村上龍の小説に『愛と幻想のファシズム』というのがある。これは不況下の日本で、主人公がヨスガのコトワリを啓き独裁者の地位に昇りつめていく様を描いた政治SF小説だけど、実際の日本ではは失業率が5%を超えても誰も革命なんて起こさない。ファシストも台頭しない。
 あの小説の最後では、クーデターの成否が「情報を遮断する」という奥の手にかかっていたんだけど、小説が書かれた80年代と違ってここまでネットが普及すると、世界の情報から完全に遮断されるっていうのは難しそうだ。
 …と思っていたら、つい先月のことなんだけど、南太平洋の小国、ナウルが消息を絶った。国が消息を絶つってのもおかしな話だけど、この国には電話回線が一本しか無く、それが外部との唯一の連絡手段だった。それがどうやら、軍事クーデターが起こって切断されたらしい、という噂だった。(今現在どうなっているのかはちょっとわからない)

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 でも、リヒテンシュタインやナウルくらいの小国だったら、独裁制でも別にいいと思うんだよね。相性がいいというか。何といっても意思決定がスピーディーだし、もし軍事的に暴走してもモナコやマルタ程度の国だったらそれほど被害は出ないだろう。ラピュタは小さいけど軍事力があるからダメだな。
 それに絶対君主制なんて今時ロマンがあるじゃない。もはや伝統芸能の世界だよ。リヒテンシュタインの元首にはぜひお城に住んでもらいたいなぁ。

 逆に、一番それが難しそうでキケンな中国なんかがずっと(一党)独裁でやってるってのも皮肉な話だけど、アメリカも最近なかなか近い雰囲気を醸し出してきている。


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