断食してみた

2005年10月12日 水曜日

 以前ここでもお伝えしたが、イスラム教国は、現在ラマダン、断食月の真っ最中である。断食というのは、イスラム教では信徒が必ず行なわなければいけない宗教行為『五行』のひとつとされ、義務付けられている。

 太陰暦の9月になると、各国のイスラム最高指導者が「ラマダン入り」を宣言する。これはまあ「梅雨明け宣言」のようなもので、各国によって少しずつずれが、大体10月の始め頃になるようだ。

 というわけで、何の因果か僕も断食に挑戦することとなった。断食と言っても、1ヶ月間まったく食べないわけではない。(それだと死人が出る。)断食時間は日が昇っている間。つまり、日の出の寸前に食べて、日の入り直後に食べていいことになっている。

 そのため、ラマダン中は夜中の3時半に起きて“朝食”をとり、お祈りをして、夕方6時に一気食いするというデタラメな生活時間帯となる。

 何のためにこんなことをするのか? 現地でできた知り合いに聞いてみたけど、あまり明確な答えは得られなかった。「しなきゃいけないからするんだ」「そういえばなぜでしょう」

預言者ムハンマドが断食した故事に基づき…とかそういう由来があるのきあと思いきやそうでもないらしい。「貧しいもののことを思い、神の恵みに感謝する」というような意義はあるようだが。

 あと、「断食することによって内臓を休め、毒素を体の外に出して健康になるんだ!」と言っていたやつもいたが、それは絶対違う。そういう感覚は5日から1週間くらいやって得られる結果と聞いたことがあるし、夜中の3時にあんなに脂っこいものを食べて寝てそれから14時間何も食べないなんていう生活が体にいいわけがない。

 しかし実際に体験してみて、実感したことがある。この断食の一番の効果は、連帯感だ。そこにいる全員が同じ苦痛に耐えていて、しかもその苦痛があるときいきなり終わりを告げる。時計を見ながらじりじりするその感覚…。

 日本で言えば、年が明けた瞬間にみんなで「あけましておめでとうございます!」と祝う、あんな感覚が毎日味わえるのだ。そしてこの「連帯感」というのは、宗教が運動として担う最も大きい効能であり、こんな風習が何千年と続いている理由だろう。

 しかしこれは確実に労働生産性が落ちますね。日中全然やる気でない。—–

広告


この記事の評価は:

うーん…いまいち…ふつうですかなり良い素晴らしい (まだ評価されていません)
読み込み中...

コメント / トラックバック 4 件

  1. たまぞー Says:

    ”郷に入っては郷に従え”じゃないですが、
    非常にいいことだし、実践すべきなんでしょうね。
    九十九式ニズムなレポ楽しみにしてます。
    ちなみに九十九式ニズムってなんだってツッコミはご容赦を…

  2. eeeeee Says:

    感心

  3. 匿名 Says:

     昔、学校の歴史の先生が「断食はダイエットのためにやっている」と言ってました。イスラム教徒全員によるダイエット大会ッッ!!。
     その先生は授業中にもののけ姫を流したりする意味不明な人でしたけど。

  4. 宮本 Says:

    >>たまぞーさん
    「勇気があれば何でもできる!」ってとこですかね。
    まあ断食はもう2度としません!

    >>2
    そういえばこっち来てから太ってる人見かけません。やはり肥満の最大の原因は食生活の西洋化のようですよ。

コメントをどうぞ

コメント
Follow me on Twitter