1997年~2003年のWeb日記ブームを支えた「読みたい/読まれたい」欲求

2016年9月26日 月曜日

数日前に、「『Read me!!』も『日記猿人』『テキスト庵』もない時代… 個人サイトはどこで宣伝すればいいのだ?-九十九式」と題する、まあ要約すれば「僕ちん頑張って毎日ニッキ書いてるのに、誰も読んでくれなくてつらいよ~…」という女々しくて女々しくてツラい日記を書いたんですが、なんと反応がありました。

ちょっと話がそれたのでもとに戻しますが、じゃあ、今からブログ(テキストサイト、Web日記、ニッキサイト)を始めるとして、どうやってコンスタントにアクセスしてくれる定期読者を獲得すればいいのだろうか?という問が頭をもたげてくるのでした。

かつては、個人文章サイトの登録リンクサイトが色々ありました。
津田日記リンクス…
Read me!!…
日記猿人…
日記才人…
テキスト庵…
みんなどこへ行った? 見送られることもなく……。隆盛を誇ったこれら読み物登録サイトは、2000年台初頭にみんな消えてしまいました。

『Read me!!』も『日記猿人』『テキスト庵』もない時代… 個人サイトはどこで宣伝すればいいのだ?-九十九式

真っ先に反応してくれたのは、日記冥獣…じゃない日記盟友、『ドリフトウッド』の関さん。

まあこれ、仕事だったら、業界分析、ターゲット分析、ニーズ多寡の把握とかして投入すべきコンテンツの戦略とか編集方針を決める、とかになるんだけど、元々はそういうなんちゃってマーケティング的な行為から遠い世界だったと思うので、当時を知っているだけに、え、それやる?みたいなそういう違和感があるなあ、と。

ただ、リードミー的(の中でも更に狭いテキストサイト領域)なものに対するニーズって直感ベースだと現状非常にニッチなものでしかありえず、もしPVを上げるとなると、

・リバイバルというか郷愁くすぐられて読む層の開拓(どんだけいるの?という判断含み)

・当時抱えていた読む/読まれる欲求はウェブ日記ではなく別のもので昇華されているので読む必然性がなくなっている、と状況に見切りをつけあきらめる

・仮に当時と同様のニーズを抱える層が「どこか」にいるとして、その所在を明らかにする。そうしないと届かないし、そもそもそういうニーズを抱えている層は今の自分とは境遇や世代など離れている可能性も高い。そこに向けてアジャストするのかどうかのジャッジも挟んだ上で、その層向けの「コンテンツ」を展開する

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くらいしかやり方思いつかないですね!

これ、大人になった今の知力や仕事力やビジネススキルみたいなものを総動員して、金にも薬にもならないブログ/Web日記に透過する…てのも面白そうだから、誰かやってみて欲しいんだけど、誰もやらないんだろうな。それこそまさにHEXAGONの『ハイスクールはダンステリア』なんだけどな。金がある社会人には暇がないし、暇がある大学生にはマーケティング能力もWeb日記を書く動機づけもない。

でも、大体は関さんがフィーリングと直感ベースで分析しているとおりだと思うんですよ。

まず、郷愁をくすぐられて読む「あの頃」の読者がもういない。ゼロとは言わないけど、数百、数千というレベルではもうない。(いまだに読んでくださっている少数精鋭の皆様への感謝は片時たりとも忘れません!)

「当時抱えていた読む/読まれる欲求はウェブ日記ではなく別のもので昇華されているので読む必然性がなくなっている」

あとはもう、これ。まさにこれ。ウェブ日記ブームは、まさにこの「読む/読まれる欲求」に支えられたものと言っていいでしょう。当時は紙媒体で発表された小説やコラムや投書以外では、市井の人が書いた普通の日常的な文章を読む機会というのがほとんどなかったし、自分がクラスの文集以外でそれを公開する機会というのは、それ以上に皆無だった。ウェブ日記が隆盛を誇った1997年~2001年(『”FUNNY” GAMER’S HEAVEN』以降『侍魂』以前。※追記:2003年『テキっ娘。』以前くらいに延長しようかな…)くらいって、参加する書き手と読み手が、この感動を共有できたとても幸せな時代だったんだろうなと思う。(そして動画もネトゲも未発達なナローバンド時代でもあった)

で、今はFacebookに可愛い子供の成長記録とか、バーベキュー日記でも書けば(Yo!ニコタマへようこそ!今日のBBQ超うまそう!)、友達があっという間に「いいね」を10個くらいポポポっと付けてくれるので、承認欲求も日記欲もインスタントに満たされる。読む方もその後わざわざ見知らぬ人の日記を読みたいとも思わない。

寒い時代だとは思わんか…。


この記事は26分18秒で書きました。

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コメント / トラックバック 1 件

  1. type99 Says:

    1997年~2001年のWeb日記ブームを支えた「読みたい/読まれたい」欲求 – 九十九式

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