学習ルームは処刑の授業
6月1日佐世保の小学校で、小6の女児が同級生の女児をカッターナイフで刺殺するという凄惨な事件が置き、列島を震撼させた。いや、震撼したのかどうか。今の時代、まぁこんくらいのことはいつか起きたかもしれないなあ、と感じた人も多かったかもしれない。僕が思ったのは「カッターナイフで人が殺せるんだ」という当たり前の気付きだった。
ともあれ、こうなると動機が気になるところだし、精神鑑定とあわせてあちこちで取りざたされるのだろう。でも小学生が殺したいほどの恨みや怒りを抱くのってどんな状況だろう。ちょっと想像が付かないな。給食のプリンの取り合いにしちゃ行き過ぎだし、掃除当番の擦り付け合いでもないだろう。小6くらいになると恋愛も絡むのだろうか。それともやっぱりイジメの仕返しか。親にイジメを相談したら「死ぬ気でやり返せ!」「相手を殺す気でやれ!」といわれたとか。それか結婚式の日にリンチされて半死半生の怪我を負って、奇跡的に回復して復讐しに来たりしたのだろうか。
とかなんとか考えていたら、なんと発端は『HPの書き込み』、つまりネットバトルから発展したものだったとか……! (時事通信) 恐ろしすぎる。インターネットは怖いインターネットですね。書き込みが気に入らなかったからって、刺殺! しかも喉笛掻き切ってキルビル! 処刑教室!
そのHPは一体どこにあるのか、2ちゃんでも話題になっているがまだ見つかっていない。本日の夕刊によると、「県警もHPの存在を確認しておらず、現在特定を急いでいる」とのこと。2ちゃんと警察、日本を代表する2大調査機関が総力を結集しているにもかかわらず見つからないとなると、こりゃ発見される可能性はものすごく低いだろう。っていうか女児のPCのブックマークとか履歴とか探れば出てくるんじゃないの? しかし、もしそれが見つかったからってどうなるだろう。
しかしそのHPよりも気になるのは、そのネット上のいさかいの詳細である。一体どんなことで殺し合いにまで発展したのだろう。
皆さんは大丈夫ですか? こういうことした覚えないですか!?
しかしこういった比較的ダイレクトに恨みを買いそうなネタならまだしも、
などの完全に逆恨みな理由だったらもうアウトだ。これからは怖くてインターネットで知り合った人と気軽に会えない。今度ネット友人が野外バーベキューをやるというが、いつなんどきバーナーであぶられたり、串で刺されたりするかもしれないと思うと、怖くて肉も焼けない。東京タワーで買った刀で武装していこう。
とまぁ冗談はさておきごめんなさいして、問題の女児は「殺すつもりだった」と答えているという。何より一番驚いたのはこの部分である。脅かすつもりで、つい勢いで、死ぬとは思わなかった、カッとなってやった……、そんな類型的な答えを聞いて少しでも安心したかったんだけど、この女児は明確な殺意をもって犯行に及んだのだ。
新聞を見ていると、識者は相変わらず「心の闇が」とか「命の大切さを教える教育を」とか念仏のように繰り返しているようだ。こういう特殊な事件がおきるたびに、いちいち異常者を科学的かつ観念的な枠で捉えようとする人がいる。それは不毛なのでやめたほうがいいと思う。
かと言って僕にも何も見えない。僕は小学生の頃に、いやこの歳になっても、殺意を抱いて刃物を握った経験はない。心の闇には闇しか見えない。僕はかねてより少年犯罪厳罰主義を唱えているけど、この事件も「死刑だー」で済ませられるとは思えない。この場合における死刑は、おそらく「この恐ろしい事件はなかったことにしましょう」程度の消極的な意味しかもたない。しかし、施設で暮らせば心の闇は晴れるのか。
被害者、加害者、被害家族、加害家族、級友、教師、地域社会。この事件が風化する日はくるのか。とりあえずこの学年でクラス会が開かれることはないだろう。どうにもやりきれない事件である。—–
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