『ボーン・アイデンティティ』は忍者映画だった
洋上を漂う記憶をなくした男。彼の背中には二発の銃弾と、皮膚には、スイス銀行の口座番号が埋め込まれ、行く先々で警察権力に追われることになる。彼の記憶は果たして…。
ハリウッドが金と人と時間をかけて作った、高品質なスパイ格闘アクション。サスペンス、カーチェイス、格闘アクション、銃撃戦、全てがハイクオリティ。特筆すべきは、いくつになっても少年のような顔をしたマット・デイモンの格闘アクション。軍隊格闘術的な動きで、刃物使いを相手にその場にあったボールペンを使うところや、立ち技での間接の決め方など、かなり訓練された動きです。
いやもちろん、記憶を失った苛立ち、訳も分からず国家権力に追われるとまどいと恐怖、一緒に逃げることになった女性との間に発生する感情…など、微妙な心理の表情演技もうまいんですけど、なにぶん僕は中学生(心が)なもので、どうしても格闘シーンにばかり目がいってしまうんですよ。(カーチェイスは正直それほど惹かれるものでもない)
この映画も“カリ”
で、この映画は2002年に作られたものなんですけど、格闘シーンはカリのスタイルで撮られていますね。カリは、もともとはフィリピンの伝統的な武術なんですが、スピーディーな手技と、アクロバチックな動きが受けて、最近ではハリウッドの格闘シーンに幅広く取り入れられるようになっていますね。
YouTube – How to Fight Like Jason Bourne with Jeff Imada
(ボーン・アイデンティティの格闘シーンメイキング。フィリピン・カリの格闘指導が入っている。)
余談ですが、日本でも、『SP』の岡田君が3年くらいカリに取り組んでいるそうで、銀幕でもその格闘センスが冴えわたっています。多分彼が今の日本の芸能界最強。
YouTube – SP_04 『SP』 岡田准一 「カリ、修斗の練習風景」
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これは忍者映画だった
それと、見終わってしばらくして気づいたんですけど、これって忍者映画ですよね。
『カムイ伝』の赤目に見られるように、忍者というのは固い掟で縛られた職業人組織で、その守秘義務などの縛り上、組織を抜けるのは許されない。個々の忍者が秘密を知りすぎているから、脱走した忍者は「抜け忍」と呼ばれて、昨日まで同僚だった仲間の忍者たちから、命を狙われることとなる。
この映画のジェイソン・ボーンがまさにそれで、記憶をなくしているんだけど組織としてはそんなこと知りようもないから、死ぬまで追手がかかる。助かりたかったらどこまでも追手を殺し続けて、最後には自分が死ぬか、死んだことにして行方不明になるかしかない、という。
『ボーン・アイデンティティ』は、ハリウッド製の現代版・忍者映画だった。
2011年6月9日 at 08:38
たしかにそうだな
2011年6月10日 at 15:24
フィリピンのカリという格闘技が、豊富な手技とトリッキーな動きからハリウッド映画の格闘術として人気とのこと
2011年6月10日 at 16:12
ボーン・アイデンティティの殺陣は好きだったな。ニンジャ映画ってか抜け忍モノというか、忍者関係なく脱組織逃避行モノは定番だと思う
2011年6月10日 at 16:58
なるほど、構造的には完璧に忍者物ですな
2011年6月10日 at 22:28
忍者!
2011年6月11日 at 01:57
なるほど、構造的には完璧に忍者物ですな