ネットの嘘ニュースは釣られる人がいるから楽しいのだ
虚構新聞という、創作ニュースを更新し続ける人気サイトがあります。他の嘘ニュースサイトと違って悪意がないし、いかにも「ありそうでなさそう」なところを突いてくる発想の面白さがいいんでしょうね。
2004年から(独自ドメイン化は2008年から)続けられている、結構歴史のあるサイトなんですが、昔からうっかり釣られてしまう人が後を絶たないサイトです。(もともとはエイプリルフールのネタとして始まったとか)
最近で特に話題になったのは、こちらの2本。
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4月から、17文字に ツイッター
フォロワー300人以下は強制退会 SNS化を徹底
背景には、Twitterの流行、リツイートによる拡散があるようです。タイトルだけで、本文をよく見ないでリツイートすることによって拡散していくという構図。モバイルからやっていると、いちいちURLにアクセスしに行くのが面倒なのかも。しかし場合によっては本文を読んでまで釣られている人も見受けられます。
それでもニュースタイトルには「虚構新聞」って入っているわけだし、本文を読めば至る所に「ああ、冗談か」と分かるようなネタが書かれているし、そもそもタイトル自体がネタとしか思えないような突拍子もないものばかりなわけですが、みんなそんなにびっくりニュースに飢えているんでしょうか。
なぜ釣られる人が後を絶たないのか
おそらくTwitterの場合、友人やフォロワーからのRTという形で来るので、最初から真偽の判断プロセスを飛ばしてしまう、つまり「友人が言っているから本当なのだろう」と信頼性が担保されているという構図があるのでしょう。これってまさに流言飛語が流行っていくプロセスですが、それがクリック一発で非常に短時間に拡散していく、と。
タイトルに「ネタです」と入れておいたほうがいいのではないか、という指摘もあります。
babelap ときどきタイトルだけではオチてない(Bogus系のネタと即判別できない)からですね。「中学生28人が赤痢 トイレ清掃が原因か」とか。安全のためにタイトルに「虚構新聞」と入れといたほうがいいんですが… 2011/07/11
実は虚構新聞では、タイトルの横に白文字で「これは嘘ニュースです」と書いてあり、コピペしようとすると気付く、という仕組みになってはいるのですが…。
タイトルにまで「これは嘘ニュースです」と書いてあったら、嘘と分かっている人にとっても興ざめですし、うっかり釣られる人が少なくなってつまらないでしょうが。
嘘は嘘と…
そう、身も蓋もないことを言いますけど、こういう嘘ニュースネタは、うっかり釣られるから楽しいのであって、最初から「これは嘘ですが」と前置きしてあったらつまらないんです。
それではまるで、最初から犯人の分かっている推理小説を読むようなものではないですか。
でも、とはいえ釣られすぎてしまうのも問題ですね。
世の中には、アンサイクロペディアを「悪質なデマサイト」と言ってしまう元議員もいるし、
@yukiko_kajikawa Twitter有料化の件、オリジナルのソースは、悪質なデマサイトのようです。それを信じた人々が、さらに自分のサイトに載せてるので、広まってしまっているようです。
Togetter – 「アンサイクロペディアを「悪質なデマサイト」扱いした人」
虚構新聞を「ネットのニュースはデマばかり」と批判してしまったりする新聞社社員もいたりするのでした。
就活していたころ大学内で合同説明会が開催されてて、読売新聞のブースがあったから冷やかし程度に覗いてみた。
頭の弱そうな女社員が何故か虚構新聞のページをスクリーンに映しながら説明していた。
「ネットはデマばかりです。いくらインターネットの新メディアが出てきても紙の新聞がなくなることは無いですぅ」
みたいなことを滔々と述べてた。
デマサイトじゃなくて、愉快なネタサイトだと思うんですが…。
ここは、いにしえの賢人のセリフを借りて締めておきましょうか。

嘘は嘘と見抜ける人でないと、難しい
嘘は嘘と見抜ける人でないと、Twitterを使うのは難しい。
– 2004/08/19 『Yeah! めっちゃダブルユー!』
いぬモニ。に矢口激怒 ストライキか > miyamotosports.com > 芸能TOP > 芸能ニュース
2011年7月28日 at 21:34
メタ的な「ネットの話」でワイワイやるところまで含めて楽しいですね。
2012年3月8日 at 02:41
過去記事にコメントするので、目を通してくだされば幸いです。
自ブログにても、自分の考えをまとめようとしている所存ですので、少し口調がキツくなりますが。↓
まずふざけたタイトル記事への思いが浮かんだ。
なぜふざけているかってのを説明なぞせんよ。
俺は、あの虚構新聞は普通の人が思いつくレベルで成り立っていると想定している。捻りがないため、皮肉が効いている以前に面白くも面白くなくもない、というくらいだ。
だから害はない、とも言える。しかし、虚構新聞のネタ記事を拡散させる側は真偽はともかく、タイトルだけで有用な情報と信じていることが多い。場合によっては誰かを釣るために拡散に加担していることもありうる。
それが、「ネタでした」で済ませられるのは可も不可もない内容だからこそなのだが、ここ最近のように震災などの繊細な話題であればあるほど、その記事を目当てに見に来た客はがっくり肩を落とす人もいるだろう。この場合、虚構新聞をデマサイトと認定するわけにもいかないが、かといって、人々に名が知れるようになったサイトとしては身振り素振りを見極めるべきだ。
そしてもう一つは、彼らは実名でやっているわけではないということだ。
もしも実名でやっているならば、「お前何やっとんのじゃーー!!」と街角で殴られても仕方のないことだと俺は考える。虚構新聞の運営は、その点、自分たちがメジャーになった後のことも考えているとはいえず、中途半端な心構えでネタを投下し、責任を負う気はさらさらないのだろう。
その姿勢を卑怯とは言わないが、誇れることではないだろう。
要するにそんなバカを擁護している人間がいまだに多く牛耳っているのが今のネットってことなんだろう。こういうサイトを本気でやるなら実名以外ありえんよ。実在する人間や事象をネタにしてるのならなおさらば。