変な日本語 「マジキチ」は誉め言葉か?
ネットジャーゴンで、「マジキチ」というのがある。「マジでキチガイ」の略なのだが、おそらく、キチガイという表現が乱発され、インフレを起こしたために作られた上位の概念語である。
RPM
「ネットではインパクト重視のため表現がいくらでも過激化していく」問題で”キチガイ”を多用しすぎた結果、ホンマモンを表現するのに適切ではなくなったらしく近年ではどうも”マジキチ”というのを使うようになったようなんだけど、最近はそれすらも飽和状態な感じ。次はどうするんだろう。
しかしこの、「マジでキチガイ」略して「マジキチ」というのが、変態番付の横綱とか、シリアルキラーとか、鳩山前総理とか、そういうのに対して使うなら、まあ、10歩譲って分からないでもない。
しかしなんかこう、誉め言葉として使われるようになっていることについては違和感を禁じ得ない。
こちらは、鳥山明の画力を賞賛するスレッドで、森薫(『乙嫁語り』の作者)の作画技術を誉めるコメントとして出てきたもの。
鳥山明の画力は異常すぎる。
77 名無しさん@涙目です。(catv?) :2011/06/17(金) 23:49:57.97 ID:jQzyrv810
乙嫁語りの人が凄いと思う100 名無しさん@涙目です。(チベット自治区) :2011/06/17(金) 23:53:41.47 ID:He2ey+Fx0
>>77森薫「乙嫁語り」の現場から その1:下書き – YouTube
森薫「乙嫁語り」の現場から その2:ペン入れⅠ – YouTube
森薫「乙嫁語り」の現場から その3:ペン入れⅡ – YouTube
森薫「乙嫁語り」の現場から その4:ペン入れⅢ – YouTube
森薫「乙嫁語り」の現場から その5:ペン入れⅣ – YouTube
森薫「乙嫁語り」の現場から その6:トーン – YouTube上手い通り越してマジキチ
鳥山明の画力は異常すぎる。
このYoutube動画、すらすらとあの美麗な描き込みが展開していく様は驚嘆の一語に尽きるんですけど、この仕事を見て、言うに事欠いて「マジキチ」はないだろう。だって「マジでキチガイ」ですよ? 失礼にも程がある。こんなこと言ってる>>100こそが、失礼を通り越してマジキチ。
「乙嫁語り」の魅力
25 : 名無しさん@涙目です。 : 2011/02/28(月) 18:07:05.78 ID:7WZrDoaf0 [6回発言]
ここまで来ると、マジキチレベルだわ・・・
森薫「乙嫁語り」の現場から その4:ペン入れⅢ – YouTube63 : 名無しさん@涙目です。 : 2011/02/28(月) 18:46:10.47 ID:7MmsXpa70 [2回発言]
作画がマジキチだよな
キャラの普段着にも鬼のように刺繍入ってるもんな
『乙嫁語り』の魅力そのものを語るスレにおいても「マジキチ」。どうやらこの人達にまったく悪気がないというか、普通に称賛しているつもりのように見えるが、それが一層始末に負えない。
@na_tsu_ki なつき
森薫さんの画力をマジキチと表現するのはとても良く分かります。というかあの人好きなモノを描いてる時の執着がマジキチ
6月18日 webから
いや、だからなんで画力が高いとキチガイなんですか? まったく分かりません。好きなものを描いているときのそれだって、執着ではなくて集中力なのでは?
広告
森薫先生の絵と言えば、『乙嫁語り』で見られるように、民族衣装の刺繍とか装飾などを、細部まで非常に細かく、緻密に描いていることで知られます。ああ、ちょうど平原の乙女達が細かいステッチで刺繍を仕上げていくように、森先生はこういう模様を描き込む作業が好きなんだろうなあ、とも感じさせます。
それを、例えば本人が、自虐的な冗談として「こういう模様が偏執狂的に好きなんです(笑)」とでも語るならまだ冗談にもできるかもしれない。(※ 第2巻のあとがきにそれっぽい楽屋マンガが)
しかし、第三者が、言うに事欠いて「マジでキチガイ」はおかしいでしょう。
以前、「109ショップの店員は『エロい』を誉め言葉として使う」と書いたけど、それ以上に「マジキチ」は何をどうしたって誉め言葉にはなりえない、と思う。思いませんか?
2011年8月11日 at 21:43
「釣りキチ」とか「空手バカ」とかと一緒で元の意味から乖離して別に意味に変わった表現ということでじゃね。まあまだ現在はその過程で今後どうなるかわからんが。
2011年8月11日 at 23:25
『乙嫁語り』に関して言えば、2巻の巻末あとがきマンガで作者さん自身が
「晴れた昼間にひとりで
馬の足やら刺繍やらを描いていると
こうふつふつと」
「ふつふつと…」(コリコリコリコリと作業中の絵)
「私 今生きとる!」(目がイっちゃってる自画像)
と描いている(しかも第三者に「バカなの?」とツッコませている)ので、
「自虐的な冗談として」御自身が語っているとみなして間違いないと思いますし、
それを受けての、半ば冗談で揶揄しながらの「マジキチ」という表現でしょう。
率直に言って、あの偏執的な作業を嬉々としてできるのは変態だと思いますし、
森薫さんはその変態的嗜好が金儲けに結びついた幸運な方だと思っています。
2011年8月12日 at 09:47
芸術に対して狂気を感じるという言い方をすることはあるけど、現役の作家に使って良いのか、と考えていくと、この例も確かに議論の分かれるところだと思う。/広島カープ前田の「野球馬鹿」のコピーの件を思い出した
2011年8月12日 at 11:36
>TKさん
ああ、そういうのありましたね。ご指摘ありがとうございます。
でも、作者さん自身がそういう自虐語りをしたり、作中でツッコミを入れたりするのはいいとして、全く無縁の第三者が「マジキチ」呼ばわりするのはやっぱり別問題なんじゃないかと思います。
つまり僕は、「マジキチ」という言葉そのものに反応しているようです。
2011年8月13日 at 08:29
専門性の高い行為や特定のものにこだわる様子などを「××馬鹿」とか「××キチガイ」と呼ぶ流れで考えれば、まあごく自然に発生するであろうスラングでしょう。