攻撃手段としてのブログ ~居酒屋 vs 妊婦事件~
さぁさぁ、火事と喧嘩はネットの華! ということで、久しぶりに戻って来ました。宮本です。
「リアルの喧嘩がネットに持ち込まれる」という僕の好きなパターンの炎上案件が話題になっていますね。
事件のあらまし
妊娠4ヶ月の人が「酒飲めない人お断り」のこだわり系居酒屋に夫婦で行ったところ、「うちにはソフトドリンクおいてないんで!」と追い返されたとか。
その後、店のサイトを見てみると、なんとトップページの新着情報欄に「妊婦でお断りww」「ダンナをぶっ飛ばしてやろうかと思ったwww」などとDQN丸出しの「新着情報」が書かれていたのでさぁ大変。妊婦がブログで糾弾記事を書いたのだった。
(cache) 許せない!妊婦を追い出す最低のお店|ひよっこママの奮闘日記
(削除済みのため魚拓)
炎上マーケティング説?
話をもとに戻すけど、ただこの案件はところどころちょっと不自然な点もあって、中には「妊婦と店がグルになった炎上マーケティングなのではないか」なんて説もあるけど、それはまずないと断言できる。だってこんな形で注目されても、店側に何のメリットもない。
店側がすぐに謝罪記事を上げているので、妊婦ブログの記事や画面キャプチャが捏造である可能性も低い。
あと、この件にかこつけて妊婦批判に持って行こうとする人もいるようだが、それは完全に別の話なのでここでは無視しておく。
この店が非道いとされるのは、次の2点である。
- 重大な過失のない客にたいして高圧的な態度
- さらに後日、店のサイトで揶揄嘲笑
特に悪質なのは2点目で、こんなことを店のサイトのトップページで誇らしげに(ウチは一本スジの通ったこだわりの店です、とでも言いたげに)掲載しているんだから、正気の沙汰ではない。
妊婦さんも申し訳ないがお断り!だってソフトドリンクありませんですの。。オホホ
久しぶりにぶっとばそうかと思いました、、妊婦さんでなく、旦那にですけど、、
まーガラ悪いwいいの。ウチはお酒の店です、、飯屋じゃございません!ww
この「ぶっ飛ばそうかと思いました、、、」「まーガラ悪い」のところを見て、「つまりこの旦那のガラが悪かったからだ!」なんていう珍解釈をしているニュースブログもありましたが、(→【居酒屋『きの字』は悪くない!?】 メニューに「妊婦不可」と記載。店主がキレたのは旦那のガラが悪すぎたから : はちま起稿)
いや、どう考えても「まーガラ悪いw」てのは自虐というか「どーよ、俺ってばガラ悪いっしょ(笑)」ていうDQN特有のちょい悪アピールでしょう。
それに、注意書きったって、薄暗い中でこんなちっちゃい手書きの文字を見落としたくらいでここまでされたら、ガンジーでも黙っていられないだろう。
この件に関しては、100%、店側が悪い。
攻撃のためのブログ
これに対して冒頭の批判ブログ(現在削除済み)がドロップされたわけだけど、いくつか不自然な点があることも確かである。
- 3件しか記事がない
- 最初の記事のあとにさかのぼって短い記事が追加されている
- プロフィールが拾ってきた(っぽい)妊婦画像
- Twitterで拡散要請しているのが捨てアカウント
しかし、よくこのブログを見てみれば、前述の点は不自然でもなんでもない。
おそらくこの人は、本当に妊婦で、しかもどこかで(多分アメブロの別アカウントで)普通にブログを運営しているはず。
だからこんな目に合わされて、ネットでの報復活動を考えた時に、まっさきに「ブログで批判記事を書こう」と思い立った。
でも、これまで自分のプライベートを書き連ねてきたかわいいブログに、変な注目が集まって炎上したりするのは嫌だ。よし、新しいブログを作ってそこに書こう。
かくして、純粋に攻撃手段としてのブログが生まれた。
怒りに任せて記事を書きなぐって、Twitterで拡散要請してみたものの、記事1件だけじゃちょっと不自然なので、急いで2件ほど記事を追加したのだろう。
結局、店側がブログの方でも謝罪記事を上げて、妊婦のブログが削除されたことによって、若干のもやもや感を残したままこの事案は鎮火しようとしているわけですが、これは日本のブログ文化が次のステージに移行しつつあることを示す象徴的な出来事だったと思う。
ここでこの人が選んだ「攻撃ブログ」というのは、報復手段としては一番効果的だったんじゃないだろうか。
Twitterはフローなので、いくらリツイートされても3日で流れてしまう。
Facebookは名前も顔も晒して友達とつながっているので、抗議や喧嘩はやりづらい。
そうなると、ブログ記事を核にして、そこからTwitterや2ちゃん経由のネットニュースで注目されるというのは、話題を広げる上で一番理想的なパターンだ。これは攻撃とかそういうネガティブな目的に限らない。
そう考えると、これはいわゆる一種のキャンペーンサイトだったわけですね。
人間て…面白!
しかしそれよりも、この妊婦が書く、決して上手とはいえないその文章に、僕はひきこまれた。
文章からにじみ出る、抑え切れない怒り、悔しさ、憎しみ…。リツイートボタンへ、はてブボタンへと読者を誘導するかのごとく感情を煽る描写…。まるでジョセフの顔に鼻クソを付けた悪徳警官のようにとことんまで嫌らしく描かれた悪役…。
良きにつけ悪しきにつけ、人が強く思ったことを叩きつけたような文章は、それだけで勢いがある。
長々と書き連ねて、最終的に何が言いたいかというと、やっぱり個人ブログの記事って、その人の気持ちやカラーが強く出ている方が面白いよなあ、と実感した次第。
広告
2012年8月4日 at 00:27
捨てブログで言及対象を糾弾することの可否。