ハロプロのコンサートが嫌いだ

2005年4月20日 水曜日

 僕はハロプロが好きだ。とりわけW(ダブルユー)は大好きだ。Wのミュージカルには、結局通算で7回通った。平日にも行った。素晴らしかった。仕事を辞めた甲斐があった……。でも、僕がこれほど足しげく観劇しにいったのは、おそらく“現場”に行くのはこれで最後だろうという気がしていたからである。

 僕はそもそも、ハロプロのコンサートが嫌いだ。歌を遮って大合唱される“合いの手”、ステージを見ない奇妙な踊り、進行やMCを邪魔する奇声、イントロでバカの一つ覚えのように繰り返される「オイ!オイ!」の怒号。その他のヲタ芸、臭気、特攻服、スケッチブック、全てが癇に障る。

 だから僕はミュージカルが好きだ。まずミュージカルは会場が狭くてステージに近いのが素晴らしい。そして着席なので、踊ったり叫んだりするものはいない(はずだ)し、歌ではないので合いの手やヲタ芸に付き合わずに済む。後はじっくりステージを眺めていればいい。天国だ。

 しかし、その聖域を土足で踏みにじられた。ミュージカルの千秋楽ということである程度熱くなってしまうのは仕方ないのかもしれないが、それにしても非道かった。
 Wミュージカル最終公演での話。会場の前で円陣を組んで“気合い入れ”をしているオタを見たときから嫌な予感はしていた。席について、左が特攻服オタ、右が振りコピオタ、前がメガホン厨だったとき、予感は確信に変わった。今日は絶対楽しめない、と。あとは暗黒の1時間だった。とくに鬱陶しいのは前に座っているメガホン厨二人組だった。こいつらがひっきりなしに妙なアクセントで「アーイヴォーー!」「アーーイヴォーー!」とメガホンで怒鳴っているのだ。しまいには気が狂いそうになり「うるさいから止めろ」と割と強い調子で注意したが、ほとんどお構いなしだった。僕はひとつ賢くなった。必死厨は言っても聞かない。

広告

 係員も見て見ぬフリだった。そもそも、前説で「ペンライト、サイリウム等の使用はご遠慮ください」と言っているのは全くの有名無実だ。そこで僕の頭にある考えが去来したのだが、ひょっとして彼ら運営側は、ある程度の“アイドルファン作法”を認めてやることが親切だと思っていたのではないか?
 要するに、ミュージカル中に奇声を発したり、歌のときに立ち上がったり光る棒を振り回したり、そういう諸々の逸脱行為を認めてやったほうがコイツラ喜ぶだろう、という意識だったのではないだろうか。だとすれば、係員はただ突っ立っているだけ、カメラくらいしか取り締まらなかったのも説明がつく。
 開演前に、入り口付近で円陣を組んで「今日は千秋楽! 我々の力で盛り上げていきまっしょい!!」とか叫んでいるのを見かけたが、ひょっとしてあいつらも良かれと思ってやっているのでは……。だとすると、やっぱり“現場”に僕の居場所はない。

 色々と偉そうに批判している僕ではあるが、かといって自分が理想的な観客だとは思っていない。会場が全部僕だったら静か過ぎる。曲終わりも煽りの返事も拍手だけになって、ピアノの発表会みたいになる。
 この日も、環境改善を完全に諦めた僕は、それでもなんとかステージに集中するべく精神を研ぎ澄まし、石像のように微動だにせず舞台上を凝視していた。(6列目なのに)


この記事の評価は:

うーん…いまいち…ふつうですかなり良い素晴らしい (まだ評価されていません)
読み込み中...

コメント / トラックバック 4 件

  1. どらねこ Says:

    私もはじめはハロプロのコンサートの雰囲気についていけませんでした。
    でも、今は亡き(?)矢口も「コンサートでは人が変わったように盛り上がれる」と
    コメントしていたくらいですし、
    あれはあれでいいのかなとも思います。

    ただ、ちょっとだけ言わせてもらいますと
    (1)ハロプロではたいていのコンサートで「親子席」を用意している
     → これは背の低い子供たちでも前方を遮られずに見られるように配慮している。
    (2)係員は「『ミュージカルパートでの』サイリウムの使用はお控えください」と言っていた。
     → コンサートパートでのサイリウム使用ははじめから認めている

    宮本さんの意見にけちをつけるわけではないですが、
    一応、事務所もそれなりに考えているのではないでしょうか・・・どうでしょう?

  2. どらねこ Says:

    「ミュージカル」に関しては同感です。
    横浜公演では、まだ客も慣れていないせいか、
    反応がいまいちの部分が多々ありました。
    (これに関しては宮本さんも触れていましたが)

    でも、逆にミュージカルを純粋に楽しめて良かったというのが正直な感想です。

    しっかし、池袋公演では(4/3が私の池袋初日でしたが)
    何とか最前列を確保し、意気揚々と向かったものの
    両隣が体格の良い方で(っていうかデ○・・・)
    座りにくいだけでなく、後方から盛んに叫ばれる「あいぼ?ん」の声にもううんざり。

    「横浜は良かったなぁ・・・」と思ったものです。
    まぁ、その日以降は妙な大声で叫ぶ奴らは少し減ったような気がしますが
    (係員が駆逐した?)
    それでも徐々にエスカレートしていく客のマナーの悪さにはうんざりものでした。

    次回があれば、もうちょっと考えてほしいなぁと思います。
    (それにしても横浜と池袋の客層の差はいったい???
     東京には妙なヲタが集まるのか??)

    あと、開演前の係員が注意を叫んでいましたが
    横浜では確実に「ミュージカルパートでの・・・」と言っていたはずです。
    それ以降は聞き流していたのであまり覚えていませんが・・・

  3. 宮本 Says:

    確かに考えてはいると思います。それなりの対応だとは思っています。でもそれは対症療法というか……。例えばポップジャムの公録見てて一般人が「何あれ」って感じる、そういう部分を多少なりとも薄めていくべきなんじゃないかと。
    でも、メンバーもファンも共に盛り上がれて楽しいなら、それはそれでいいんじゃないかなと思います。
    というか、僕はあくまでミュージカルに関して改善して欲しいとは思ってますが、コンサートに関しては苦手意識を持っているだけで、どうこうして欲しいとは思っていません。

    ミュージカルのサイリウムに関しては、僕もコンサート部分では認められていると思ってたんですが、今回「公演中の…」という注意だったような気がします。

  4. 宮本 Says:

    横浜と池袋の差は、おそらく横浜公演の評判が口コミ、ネットコミで流れた結果、現場系クソオタが大量流入し、またそれらがリピーター化したことに原因があるものと思われます。
    それにしても両側デ○゛はキツいですねぇ……。

コメントをどうぞ

コメント
Follow me on Twitter