イラクの真実(2) これがイラク人の解放だ
戦争では、民間人の殺害と同時に、捕虜への虐待も問題になる。
2次大戦時、日本人も各地の収容所で、白人から筆舌に尽くしがたい残虐行為を受けた。『アーロン収容所』ではイギリス人から動物のように扱われ、面白半分に殺害された。『クーパン収容所』では、オランダ人に虐待された上で、撲殺され、銃殺された。その他北京収容所やシベリア収容所でも、日本人捕虜の大半を死に至らしめる虐待が日常的に行なわれていたらしい。
だが同じ戦争でも、独・伊や米ソなどの白人同士では、捕虜虐待事件はあまりなかったようだ。有色人種に対する、ほぼ遺伝子レベルでのぬぐい難い差別心が、こういった残虐行為に対する良心の呵責を鈍らせるのだろうか。またそれは、イラクでも同様だった。
米英軍がイラク人捕虜に対して行なっている虐待の数々が、世界のメディアで報じられ、大きな波紋を呼んでいる。
米CBSテレビは、28日にイラク人捕虜を全裸にして陵辱している写真を報じ、英国のBBCや大衆紙サン、タブロイド紙ミラーなども、イラク人捕虜に放尿する英軍兵士の写真を発表した。(共同)(ロイター)
これらのニュースサイトではその写真自体は掲載されていないが、当然ながらネット上にはそれらの写真がアップロードされている。
アブグレイブ刑務所の写真;これがイラク人の“解放”だ (エロ・グロ・死体あり注意 リンク先のリンク先には無修正の写真あり)
彼らは、一体どうしてこうも無思慮な笑顔で写真に写っているのだろうか。イラク人は、彼らにとって人間ではないのか? いや逆に、彼らは本当に人間か? 何が楽しいというのだろう。
これらの写真や映像は、「イラクでの反米英感情の原因を国民に知って欲しい」ということで、英軍兵士から匿名でCBSに寄せられたものらしい。これらの映像は、すぐにアルジャジーラなどの中東系メディアでも報道され、イラク全土の反米英感情に火を付けたようだ。(毎日)
当然のことだろう。自国民がここまでの侮辱を受けて、黙っていられる民族などいない。男たちは自爆をも決意するだろうし、少年でさえ銃をとるだろう。これが日本人なら、僕でも地下運動に身を投じている。
米英両国とも、「一部の兵士の行いで全体を判断して欲しくない」と言っている。しかし『一事が万事』である。占領政策は、戦闘行為よりも難しいものだ。一人でも殺害があれば、一件でもレイプがあれば、その情報はあっという間に伝わり、住民は占領者に敵意を抱く。
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大東亜戦争時の日本軍は、殺人や強姦、略奪行為を厳しく禁じ、一部の違反兵は厳罰に処した。だからこそ、日本軍による初期の南方作戦はおおむね成功したし、逆に米軍はイラク全土で憎まれ続けているのだ。
ところで、これはまたとないチャンスである。
日本は即刻イラクに駐留する自衛軍550人を、即刻撤退させるべきだ。撤退の口実は簡単である。政府はこの派遣を「人道支援活動」と位置づけているが、米軍の占領統治に人道の介在する余地がないことが証明された。日本は、軍隊による占領が終結、あるいは国連による委任統治やイラク人による暫定政権が発足するまで、イラクに人員は派遣しない、と明言すれば良いのである。
もし先月、人質の日本人が殺害されていたら、逆に自衛軍は絶対に撤退できなくなっていただろう。「テロに屈しない」というメッセージを打ち出すためである。しかし幸運にも彼らは無事解放された。これは人質にとっても日本政府にとっても、本当に幸運な出来事だった。これで自衛軍を撤退させることができる。そして、今こそそれを行なうときなのではないだろうか。