TOKYOはとバスツアー

2004年5月21日 金曜日

東京盲点ツアー

 椎名誠とあやしい探検隊、藤岡弘、探検隊、オーケンののほほん旅……。やはりエッセイの王道は体験記、それも旅行ものだ! と開眼した拙者は、東京一周はとバスツアーに参加してまいったのでござる。東京タワー、それは近くて遠い東京名所。東京都民のうちで、一体どれだけの人が東京タワーに登ったことがあるだろうか。しかも、東京観光の代名詞・はとバスに乗って! これはいやが上にもテンションが上がるというものである。バスガイドさんは美人なのか、おやつはいくらまでか、バナナは入るのか、マグロはどうなのか、寝坊しないだろうか、と前日は興奮で眠れぬ夜を過ごしたのであった……。

出発の朝

 見よ! アルタ前に光臨した、燦然と輝く黄色い車体を! 見慣れた場所にある見慣れない物体。ファンタジー世界の乗り物(サンダーバードとか)がそこにあるかのような感動を覚える。東京に暮らして二十余年。とうとうはとバスに乗る日が、来た。母ちゃん、オレ、はとバスに乗るよ!

 はとバスはまず新宿駅~東京駅~皇居周辺と移動する。タクシーに乗っていたら半分寝てしまいそうな、こんなありふれた都内の景色が、“ガイドさんの解説”というマジックによって一変する。そうか、やはりはとバスはファンタジーの乗り物なのだ! ただ、「遠くに見えます山が」といった遠景ではなく、「道路右側の記念碑は」などの近景なので、あっという間に通り過ぎる。よって記憶もあっという間に通り過ぎ、あんまり内容を覚えてないのであった。

 東京3大銅像のひとつ、楠正成像! 知ってたましたか。僕は“東京3大銅像”というのからして初めて聞いた。

浅草

 皇居では皇太子殿下に拝謁し、雅子妃殿下問題でお心を痛めてらっしゃる殿下をお慰め奉った後、バスは一路浅草へ。

 人、多すぎ
オラこんな沢山の人見たの初めてだっぺ……! 驚きの声は、すぐさま人ごみに押し流された。この日は、有名な三社祭の初日だったのだ。ツイてたようなそうでもないような。呆然とする一行の前を、子供みこしが通り抜ける。なぜか担ぎ手である子供たちは無言で、周囲でうろちょろする大人たちだけが「ワッショイ、ワッショイ!」と一生懸命声を張り上げていた。炎天下にみこしを担ぐ子供たちの表情には死相がアリアリで、さながらピラミッドの石を運ぶ奴隷だった……。

 浅草には、物見遊山のガイジンを騙すための各種インチキニッポングッズ屋が軒をそろえている。真っ赤な浴衣ふうのローブ、神風ハチマキ、富士山Tシャツ、そしてニセ日本刀! これが欲しかった。仲見世通りのお土産屋(マネカタの店)で、念願の刀を購入。全体がビニールにしっかり覆われていて、横にサンプルもないのがちょっと気になりつつも、3200円という安さに釣られた。
 ところがこれがもう、本当にがっかりする刀。どうも軽すぎる気はしていたものの、バスに戻っていざ抜刀、ココロの底からゲンナリ。鞘は普通なのに、刀身が短すぎるのだ。中、スカスカ。例えるなら、ガメつい弁当屋のエビフライのような感じ。分厚い衣の中に小エビがいっぴき。思わずキエェーーッ! と奇声を発しながら切腹しようとしたんですが、細くて丸い刀身では切れませんでした。これじゃ豆腐も切れません。

東京タワー

下から見たところ バスは茫然自失の僕を乗せて、いよいよ本日のメイン、東京タワーへ。
 東京タワーこそ、都心に残された最後の異次元である。東京にあるのに東京の人が滅多に来ないところにその原因があるのかもしれない。一歩入ればそこは異次元なのだ。いかにも観光地然としている(バスツアーがいる、ペナントや湯呑みが売っている)のに、地方ではない。ここに奇妙なチグハグ感がある。

 今回は行かなかったのだが、タワー内にあるろう人形館にも一度は行ってみることをオススメしたい。人選が異常すぎる。ロック人形として、フランクザッパアインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンの人形があり、CD販売コーナーにはジャーマンプログレ特集があったりと、脳みそが溶解しそうな亜空間。東京タワーに来る人の2%くらいにしか伝わらない。ロッキーでホラーな館である。(ちなみに、人形の出来自体はあんま良くない。)

武器屋 そして、東京タワーの場末感漂いまくりのお土産ショップにも、なぜかあった! 日本刀が! このディスプレイには鍵がかかっておらず、開けてじっくり中身を見定めることができた。今度はホンモノの模造刀だった。ただし、ラインナップが近藤勇モデル沖田総司モデルだったのが気になる。これってひょっとしたら去年は武蔵小次郎モデルだったりしませんかね……。大河商法といいますか……。
 それはさておき、今度こそホンモノを手に入れるため、1本買うのだ! ギターと一緒で、アーティストのシグネイチャーモデルは高いので、無銘刀を買うことに。でもさっき3000円使ったし、4500円ので……。しかし脇差1本じゃさみしいし、でも大小2本買うとなると、どうやって飾るか……。
 結局、“大小ひと揃い、鹿の角の飾り台付きセット”を購入。しめて1万2000円のところを、同行者の口ぞえで1万円に負けてもらった。

ブロガー6人が行くはとバスツアー

 実は今回のツアーは、雑誌の企画で、これもまたライター稼業の一環である。ただ、普段の仕事と違う所は、取材する側でなくされる側であるということ。仕事というか、まぁはとバスに乗っただけなんだけど、ある“ブロガー”がはとバスツアーというベタな素材をどう料理するのか、という企画らしい。
集合写真 同行者について触れておくと、僕の参加した回にも他に2人の“ブロガー”がいました。2人とも最近サイトを始めた人で、ひとりは気まま絵日記さん。気ままな絵柄に心が和みますね。はとバスの回で僕も登場しているのでチェックです。もうひとりは近海マグロに焼きを入れるさん。対話形式を多用したシュール系ギャグ日記で、ちょっと懐かしい匂いがします……。こういうの2001年あたりの日記シーンに多かった気がするなあ、と思ったんですが、やはり最近始めたとのことで、今までどういう言語活動をしてきたのか気になります。あと、家庭でブログ運営がオープンになっているらしいことにも驚きました。新しい時代ですね。僕なら親兄弟や恋人などにサイトの存在を知られた瞬間に舌を噛み切って絶命するかもしれません。
「オフ会って出たことないんでどういうものか分からないんですよ」と仰ってましたが、まさにあの場がオフ会の雰囲気でした。

まとめ

 はとバスの客層は、どうせ田舎のおじいちゃんおばあちゃんばかりだろうと思っていたら、まぁ実際そうだった。一組だけワケありっぽい若いカップルがいたけど、まあ僕らも雑誌の取材というワケありなわけで。しかしワケがあってもなくても、いやワケが分からずとも、はとバスツアー、参加してみて損はないと断言します。旅行というのは遠くへ行くことでなく、日常を離れることである、と言うことを気付かせてくれる。はとバスは日常を異化させる魔法の装置なのだ。1年に1回くらい参加してみてもいいかな、と思った。

「ご乗車ありがとうごじゃいま。お忘れ物なきようお降りください!」

・参照
 →近海マグロに焼きを入れる
 →気まま絵日記 | はとバスで東京観光。
 →小鳥 (a little bird)

告知

【潜入先募集!】
 きっかけは雑誌の企画ですが、この「盲点ツアー」は個人的にシリーズ化したいと思っているので、行きそうで行かない所気になるけど行きづらい所など、どこでも潜入して参るので、指令を横にあるメールフォームから送ってください。行き先は東京でなくても、日本でなくても可です。ただしイラクには行きません。(ライターとしてのお仕事も募集してます。お仕事ではもうちょっとちゃんとした文章も書きます。)

【読者プレゼント!】
写真はしょぼくない刀。あげません。 今回のツアーで購入した、浅草ガッカリしょんぼり刀、略してショボ刀を、抽選で1名の方に差し上げます。ご希望の方は、横にあるメールフォームから「プレゼント希望」と書いた上で、九十九式の感想を書いて送ってください。(当選された方に改めて配送先を伺いますので、応募には住所は不要です。)

【雑誌掲載!】
この旅の模様は、週刊アスキー 2004年6/29号 別冊 300万人のblog大全にて紹介されています。

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