「伝統は革新の連続である」 “とらや”に学ぶ進取の気性
昨日の記事で、「変わらぬ老舗」の象徴として、“とらや”の羊羹を例に挙げた。(『さるさる日記』が滅ぶべくして滅んだ本当の理由)
とらや(株式会社虎屋)といえば、創業室町、なんと490年も続く老舗中の老舗である。
そんな老舗の和菓子屋と言えば、「昔から変わらぬ味を守り続けている」というイメージがあるのではないだろうか。
しかし、実は違うのだ。
とらやは常に変わり続けている
とらやの羊羹は、老舗だからと言って490年同じ味を出しているわけではなく、とらやの羊羹のアイデンティティとして「甘く、固く、後味よく」を守りながら、時代、時代にあった味を取り入れて、マイナーチェンジを繰り返しながら今に至るそうだ。
現在の虎屋の社長、黒川氏はその「変化」をこう語る。
「遠い将来よりも今が大切」
「その時、その時にやらなければならないことをやってきた」
「目に見えない変化、時代の変化をいかに的確に捉えるかどうかが重要」
「伝統は革新の連続である」
参照:長寿企業「虎屋」、黒川氏の話を聞く
昨日を捨てる
これは、ドラッカー師の言うところの「昨日を捨てなければ明日をつくることはできない」ということにも通ずるのではないか。
おそらく、創業当時の味と材料をそのまま墨守し続けていたら、現在のとらやは無かったのかもしれない。
羊羹の品質自体への追求が根本にあるから、例えば『東京ミッドタウン』に出店する際の責任者を25歳の女性にして、企業カラーの黒ではなく白を使って自由にデザインさせたり、といった冒険もできる。
ブログも変わり続けよう
昨日を捨てると言うこと。
これがなかなか普通は出来ない。個人でさえできないのだから、企業が意識的にそれを行うのはかなり難しいはずだ。
そしてそれはもちろん、『さるさる』のようなWebサービスにも言えることだし、こうしたブログ運営にも、そして個人の生き方にも当てはまる。
自分に素直な日記を書く? 人と楽しませるテキストを書く? 交流の場を作る? 最優先するミッションはなんでもいいけど、それを守って、一生更新し続けるためにどこを変え、どこを変えないでいればいいか。
革新の心を忘れたとき、個人もブログも老いて、滅びる。
このサイトもいずれそんな風にならないように、進取の気性は持ち続けたい、と思う。
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