『さるさる日記』が滅ぶべくして滅んだ本当の理由

2011年5月10日 火曜日

レンタル日記サービスの『さるさる日記』が、6月末でサービスを終了するそうだ。
『さるさる日記』は、日記レンタルサービスの草分けとして、1999年にスタートした。(日本で最初?) その歴史が幕を閉じるというのは、どこか寂しい思いもする。
が、残酷なようだが、言うなれば滅びるべくして滅んだのだとも思っている。
終了に際しての運営会社のコメントを読んで確信した。

運営会社のコメント

同社は、取材に対しこんなコメントを発している。

さるさる日記は、1999年6月にサービス開始。2004年8月、当時の運営会社の有限会社フォーバルがGMOグループに子会社化され、現在はGMOメディア株式会社が運営している。同社によると、「老舗サービスとして昔からのユーザーに長く愛されているサービスで非常に残念だが、時代の流れ」日記レンタルサービスの老舗「さるさる日記」が6月30日でサービス終了 -INTERNET Watch

あのな、「老舗サービス」なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。

老舗に価値があるのは、例えば羊羹のとらやのように昔からおいしく、今でも美味しいもの。あるいは骨董品、アンティークやクラシックカメラのように、古いこと自体に「味」があって価値が出る場合だろう。

しかし、レンタル日記サービスはそのどちらでもない。歴史があることに意味はないし、古いままでいることにまったく価値はない。

当時、『さるさる』は最新のサービスだった

1999年、『さるさる日記』がWebサービスとして産声を上げたとき、当時は、かなり先進的なサービスだったはずだ。 サーバーの専門技術もHTMLの知識も不要で、無料で誰でもインターネット日記が書ける。すばらしい!ハッピーバースデー!
このとき、『さるさる日記』はイノベーターであり、その価値は最新の技術を誰でも利用できる形で提供したところにある。

しかし、そんなさるさる日記は、1999年にできたまま、以降10年以上も全く変わらないインターフェイス、デザイン、機能で漫然とサービスを続け、醜く老いさらばえて今に至る。

論より証拠。実際の『さるさる日記』を見てみよう。

生きる化石と化した『さるさる』

さるさる日記 – 酒とBARの日記アーカイブ
さるさる日記 – きっこの日記
さるさる日記 – まーちゃん日記

ランキングから、適当に3つピックアップした。どれも同じデザイン、古くさくてレガシーな、一昔前の「ホームページ然」とした日記ページである。

さるさる日記は、デザインテーマが設定できない。CSSのCの字も存在しない。できるのはせいぜい、背景色&文字色を変えるのと、上部にタイトル画像を表示する程度のこと。(しかもこの画像は別サーバーを用意してアップする必要がある!)

日記の投稿画面はこの通りだ。WYSIWYG機能はおろか、画像のアップもできない。文字を書くことしかできない。(しかも1000文字という制限がある!)

読み手の方では、パーマリンクもなくRSSもなく、さらにつらいユーザー体験を強いられることとなる。(※日付リンクはある)

これがダッシュボード

デザイン変更画面。背景色程度しか変えられない…

投稿画面。テキストボックスがあるだけ。

(クリックで拡大します)

追いついてない

ちっとも追いついてないよ!

とても2011年に存在を許されるクオリティではない。
運営者側は、こんなカビの生えたサービスが、本当にいいものだと思っていたのだろうか。
だって、例えば今、皆さんの友達なり彼女なりが「ネットで日記書きたいんだけどー」と言ったとして、果たして『さるさる日記』を薦めますか?
デザインはチラシの裏レベル、メール投稿も画像使用も何もない、ただ1000文字のテキストが保存できるだけのサービスを、薦めますか? 俺だったら薦めない。素人にはお奨め出来ない。
(そもそも、『さるさる日記』のページ下部には、臆面もなく他社ブログであるJUGEMと、『さるさる』同様GMO傘下のヤプログブログとT-cupブログなど他ブログサービスの固定広告が貼られているのだった。)

「時代の流れ」ではなく、企業努力の欠如

もう一度引用する。運営会社は「老舗サービスとして昔からのユーザーに長く愛されているサービスで非常に残念だが、時代の流れ」などと言っているが、寝言は寝て言え、と言いたい。昔からこのサービスを継続利用している人は、惰性で続けているか、ログを移行する気力も知識も無いから仕方なく続けているかのどちらかでしかない。
(中には、このノスタルジックな感じがいい、という奇特な人もいるかもしれないが、それならブログテンプレート『Classic』として現行デザインテーマを残しておけばいい)

それにあぐらをかいて、技術革新も営業努力も、顧客視点もなくしたサービスが潰れるのは、「歴史の流れ」のせいではない。単純に、自分達の怠惰と甘えのせいだ。
得意げな顔して何が、時代の流れ、だ。
運営者は、本心からこのWebサービスが「ユーザーに愛されている」と、「これが顧客が求める価値である」と、胸を張って言い切ることができるのか、と問いたい。小一時間問い詰めたい。

まあ、『さるさる日記』と言うサービスは、この伝説的文章が生み出された2001年4月7日の時点で、すでにその歴史的役割を果たし終えたんだと思う。

■2001/04/07 (土) ■

新作出来ました!人生とはセパタクローである、ってやつなんですけど。
聞きたいっすか、いいっすか、そうですか、遠慮しますか。分かりました。
と、まあそんなこんなで、アクセス者の95%がメガネという
脅威のサイトN・FOUND、今日も始まったわけですけど。
昨日、近所の吉野家行ったんです。吉野家。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。
で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、150円引き、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。

あのな、つゆだくなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、つゆだくで、だ。
お前は本当につゆだくを食いたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
(中略)
まあお前らド素人は、牛鮭定食でも食ってなさいってこった。
(以下略)さるさる日記 – Not Found

まあお前らド素人は、アメーバピグでもやってなさいってこった。

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※とらや…490年の歴史を持つようかんの老舗。しかし伝統の味を固持するだけでなく、実は微妙に新しい味を取り入れ続けているらしい。(「伝統は革新の連続である」 “とらや”に学ぶ進取の気性


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コメント / トラックバック 26 件

  1. SPICYFLOWER Says:

    やめるにやめられないサービスだけだった気がする。運営元のGMOは他にブログサービス持ってるわけだし。計画的終了じゃね?

  2. news99 Says:

    進化も改善もやめたWebサービスに存在意義はない、ということ。

  3. lovecall Says:

    『レンタル日記サービスはそのどちらでもない。歴史があることに意味はないし、古いままでいることにまったく価値はない / とても2011年に存在を許されるクオリティではない』

  4. semimaru Says:

    最後に、まさかの吉野家テンプレ

  5. toronei Says:

    近い感想はある。

  6. 地元密着なび・シンタニ Says:

    ネットサービスを20世紀クオリティのままで12年(干支一周分!)運営し続けたというのがすごいな。

  7. highcampus Says:

    "レンタル日記サービスはそのどちらでもない。歴史があることに意味はないし、古いままでいることにまったく価値はない"/RSS(XML)は一応取れる

  8. kana-kana_ceo Says:

    「さるさる日記は、デザインテーマが設定できない。CSSのCの字も存在しない」あらま、シンプルですね。

  9. ekken Says:

    PermalinkやRSSがないとか、デザインの融通が利かない、というのは、実はある層には求められている機能なんじゃないかと思っている。公開しているけど無断リンク禁止みたいな人にはいいんだけどな。

  10. dododod Says:

    パーマリンクとか

  11. aozora21 Says:

    私高機能のブログツールをわざわざあのレイアウトにしてるわ^^;;個人日記なら読みやすくていいと思うんですけどね…洗練され過ぎてなくて等身大(笑

  12. ysadaharu Says:

    最後の※は、「固辞」じゃなくて「固執」か「堅持」だろう、jk。もったいない。辞めてどうするww

  13. taro-r Says:

    というか新しいサービスを始めたときに古いサービスは,それに固執する人がいなくなるまでそのままとっておいたってだけじゃないの?/たぶん書きたかったのは最後の引用。

  14. boyasan Says:

    わざわざ外部のRSS生成サービスを使って、パーマリンクをブクマするのは屈辱的だった

  15. type99 Says:

    @ysadaharu 固持の誤字でした。

  16. kaionji Says:

    画像も使えないのか

  17. yoshidaa Says:

    それにあぐらをかいて、技術革新も営業努力も、顧客視点もなくしたサービスが潰れるのは、「歴史の流れ」のせいではない。単純に、自分達の怠惰と甘えのせいだ。 得意げな顔して何が、時代の流れ、だ。 運営者は、本

  18. premyth Says:

    bodyの属性で見た目の調整とかHTML4.01仕様的にも推奨されていないのに。

  19. 宮本 Says:

    >ネットサービスを20世紀クオリティのままで12年(干支一周分!)運営し続けたとい…
    そういう解釈もありますか!

  20. bjm_tms Says:

    GMOに買収されたあとはおそらく飼い殺しだったんだから、2011年のレベルに達していないという評はちょっとどうかと。2004年レベルでもどうかとは思うけど、だからこそ飼い殺しになったんだろうな。

  21.   Says:

    デザイン出来ない140字しか書けない画像は外部頼みのサービスが2011年に流行ってますが

  22. sho Says:

    基本的に同意だけど、自分で吉野家を貼っておいて「歴史があることに意味はない」はねーだろw

  23. mame-tanuki Says:

    数年後「『はてな××』が滅ぶべくして滅んだ本当の理由」を書くときにテンプレとして使えそうw→「あのな、「老舗サービス」なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。」

  24. nakakzs Says:

    2chが終わったら、2001年に八頭身が生み出された時点で既に終わってたとか言われそうだなあ。

  25. northlight Says:

    歴史があることに意味はないし、古いままでいることにまったく価値はない。

  26. 日記レンタルサービスの草分け「さるさる日記」 | 過去記事プレイバック – 高円寺発!『ハート・トゥ・アート』ブログ | Heart to Art BLOG Says:

    […] 『さるさる日記』が滅ぶべくして滅んだ本当の理由-九十九式 http://type99.net/2011/05/sarusaru-must-die.html […]

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