マジでグリーンの人になった(2)
1話 / 2話 / 3話 / 4話
(あらすじ:マジレンジャーショーに出演することになった宮本。リハはあっという間に終わり、不安を抱えたままマジ本番のときが来てしまった!→第一回)
ショーの台本
まず、基本的なショーの流れを説明しよう。
最初に、司会のお姉さんが前説と応援の練習をする。次に、怪人と戦闘員が出てきて、客席の子供を怖がらせる。「よし、地上征服の手始めに、まずはこの会場をぶち壊してくれるわ!」「ゾベルども、子供たちをさらってきて、食ってしまえ!」「グロロロ…」
戦闘員が会場に散ると、子供たちは本気で怖がる。小さい子は本当に泣き叫ぶ。そこで会場のお姉さんと共にマジレンジャーを呼ぶ。
ヒーローが2~3人出てくる。しばし戦うと、怪人が退却するので、ヒーローは後を追う。その後、悪ボス(ブランケン等)とヒーロー2~3人出てくる。同じくしばらく戦った後、退却。ここまでが前半。
ちなみに、音声は東Aより貸与される、本物の俳優達の声と曲入りのテープを使用する。よって全国的に地方巡業ではこの台本で行なっているものと思われる。
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ここでのポイントは、前半ではヒーローが全員は揃わないということ。実は、最小構成人数でステージを成立させるために、戦闘員とヒーローのうちの何人かは一人二役なのだ! 今回は、ブルーとイエローと怪人が戦闘員かけもちだった。大変そうだった。
前半と後半の間に、“お遊び”と称される時間がある。ここでは悪ボスが客いじりや戦闘員とのかけあいなどをして、インターバルの時間をとると同時に、かけもちアクターが裏で“変身”する。ここはテープや台本にない、完全アドリブになるため、悪ボスは経験豊富な人でないと務まらないのだ。
程よいところで、ステージ上の悪役がまた暴れ始める。するとお姉さんが「大変だよう、みんなっ!マジレンジャーを呼ぼう!? せーのっ!」と煽る。すると子供たちは「マージレンンジャアアアーーーーーーッッ!!!」と渾身の声で叫ぶのだ。「別に自分ひとりくらい黙っててもいいよな」なんて子供はひとりもいない。全員が本当に叫ぶ。ちょう叫ぶ。俺達が本心から必要とされているのだ。ヒーロー冥利に尽きる瞬間である。
「見つけたぞインフェルシアめ!」
「! 貴様らは…!」
ドッギャアーーン!
「うなる大地のエレメント! 緑の魔法使い!マジグリーン!」
「たゆたう水のエレメント、青の魔法使い!マジブルー!」
「走る雷のエレメント!黄色の魔法使い、マジイエロー!」
「ふきゆく風のエレメント!桃色の魔法使い、マジピンク!」
「燃える炎のエレメント!赤の魔法使い、マジレッド!」
「魔法戦隊、マジレンジャー!」ドォーン!
決まった! 緑がいつも最初なので本当に緊張した。
名乗りを上げたあとは、主題歌が流れて勝利モードになる。
「グリーン!マジタウロスアックス!」
「なんとかサンダー!」「なんとかアロー!」
「よし、トドメめだ!ファイヤーソード!」
「おのれ…覚えてろ、マジレンジャー!」
「チェック・メイト!」
「マジにキメたぜ!」
ここで司会のお姉さんが登場する。
「ありがとうマジレンジャー! みんな、この後はなんとマジレンジャーがみんなと握手をしてくれるよ!」
「10分後まで、会場をパトロールしててね!」
ガッツポーズでうなずくマジレンジャー。しかしもちろんパトロールなどしない。楽屋に直行して、面を取る。子供たちには決して見せられないこの姿。
だってとにかく暑い。心臓が早鐘のように打っている。全身が燃える炎のエレメントだ。ウルトラマンの活動限界が3分である理由が分かった気がした。これ以上はヤバい。
やられグリーン
それにしても、決めポーズはなんとか覚えていたものの、案の定立ち回りは全然覚えきれてなかった。絡みは大体ブランケン様とだったんだけど、“左フックをかわされる”“剣で袈裟切りにくるのを交わして左に抜ける”“右に抜ける”“蹴りを出す”“蹴られて吹っ飛ぶ”のうちのどれだったのか全然分からなくなって、右と思ったら左、蹴りと思ったら蹴られで、ことごとくぶつかった。
ぶつかったときは、容赦なく実際に蹴られた。しかしこれはブランケン様がキレて蹴ったわけではない(キレたかもしれないけど)のだ。蹴るフリを成立させるためには、蹴られる側が“リアクション”をとらないといけないのだ。しかし立ち回りが不完全なうえ、こちらは面をつけていて視界がほとんどない。そこで蹴るフリをしてもフリにしか見えないのである。かくして今日のグリーンは、毎回出てきてはぶつかり、蹴られ、投げられる、全くいいところのないお兄ちゃんになってしまったのだった…。ほとんど戦ってない。
つづく!
→第3話
2005年8月23日 at 10:27
ドキドキの続編!ヒーローの中の人はホントに大変なんだにゃー。。。
2005年8月23日 at 10:32
キニナル!この後、楽屋でグリーンのひとがブランケン様に惨殺されやしないかとキニナル!
2005年8月23日 at 11:10
戦闘員分の人手が足りないと思ったら二役なのか
2005年8月23日 at 13:04
戦闘員は掛け持ち。
2005年8月23日 at 22:23
ヒーローショーの舞台裏(未完)
2005年8月24日 at 12:49
こーゆーの大好きです。文章楽しむためだけに、見に行きたかったと思うぐらい。
2005年8月25日 at 11:34
ありがとうございます! 見にいけなかった分まで楽しめるように書いていきたいと思います。
2005年8月25日 at 23:26
宮本ザ・ニンジャ ヒーローとは 第二話
2005年8月30日 at 01:18
マジに暑そう第2弾。